2022年=年末までの2ヶ月余りで最大20円以上の米ドル急反落

2022年の米ドル/円は日本の通貨当局による米ドル売り介入をきっかけに151円で上昇が一段落した。するとその後は一転して年末にかけ反落が急拡大した。130円まで米ドル安・円高となり、2ヶ月余りでの最大の下落幅は20円以上にもなった(図表1参照)。

【図表1】米ドル/円の日足チャート(2022年9~12月)
出所:マネックストレーダーFX

米ドル安・円高が急拡大したのは、いくつかのきっかけがあった。その1つは、米10月CPI(消費者物価指数)発表をきっかけとした米ドル/円の急落「CPIショック」であり、もう1つは12月の日銀会合で金利の許容上限を拡大したことを受けた円の急騰「日銀ショック」だろう。

このように米ドル/円の反落が急拡大したのは、1990年以来の150円を超える記録的な米ドル高・円安となったことから、為替市場が大きく米ドル買い・円売りポジションに傾斜し、その調整が上述のような「××ショック」をきっかけに加速したということだったのではないか。

2023年=最大10円以上、年末までほぼ一本調子の米ドル下落

年末にかけての米ドル/円の反落は、2023年にも起こった。この時も、米ドル/円は2022年と同じく151円で上昇が一段落した。すると年末にかけて140円割れ近くまでの反落が起こり、米ドル/円の最大の下落幅は10円以上に達した(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円の日足チャート(2023年9月~2024年1月)
出所:マネックストレーダーFX

この2023年のケースも、2022年に続き150円を超える米ドル高・円安が再燃したことから、やはり為替市場は米ドル買い・円売りポジションに大きく傾斜していた可能性があったのだろう。2022年と異なり当局による米ドル売り介入は行われなかったものの、150円を超えたところで米ドル高・円安に一巡感が浮上し、年末まで見渡したところでさらに米ドル買い・円売りを仕掛けるような「ストーリー」も見当たらなくなると、米ドル買い・円売りポジションの利益確定が広がり、それが中心となって10円以上の米ドル/円の反落をもたらしたということだったのではないか。

2024年=11月からの最大下落幅は6円程度、12月から米ドル買い再開 

最後に2024年のケースについて見てみよう。この年は、夏に米ドル/円は20円以上の大暴落を演じていた。しかし9月頃から、11月米大統領選挙でのトランプ氏勝利を織り込む株高、金利上昇、米ドル高を想定した「トランプ・トレード」が広がり、予想通りのトランプ氏勝利を確認した後、米ドル高・円安は156円まで戻すところとなった(図表3参照)。

【図表3】米ドル/円の日足チャート(2024年9~12月)
出所:マネックストレーダーFX

その後、米ドル/円は12月にかけて150円を割れるまで反落した。これは「トランプ・トレード」のポジション調整ということの影響が大きかったのではないか。ただし、これまで見てきたそれ以前の2年と異なり、12月に米ドル買いが再開すると、年末年始にかけて米ドル/円は156円を上回る動きに向かった。

まとめ=過去3年に共通した11月からのポジション調整 

以上、2022~2024年の年末にかけての米ドル/円の動きを振り返ってみた。年末にかけて20円以上と反落が拡大した2022年。2022年ほどではなかったものの、やはり10円以上ほぼ一本調子で下落に向かった2023年。そして米ドル/円の反落は6円程度にとどまり、年末年始に高値を更新した2024年。

程度こそ違ったものの、この3年に共通したのは11月から米ドル安・円高への動きが目立ち始めたことだった。その背景には、年末に向けた米ドル買い・円売りポジション調整の影響があったのではないか。その観点からすると、今回も「高市円安」のポジション調整が11月以降の1つの鍵になる可能性がやはり高いのではないか。