為替介入の発動を示す「3つの条件」

・5年移動平均線からのかい離が±20%に達することが急変動の目安である。1990年以降の5事例中4回で介入が発生し、例外は2015年のアベノミクス円安であった。

・120日移動平均線からのかい離が円安方向で+5%に達することが追加条件である。どちらか一方のみの達成では見送りの事例がある。

・そして前回の介入局面のピーク水準を更新することが最後の条件である。2023年は最初の2つのかい離条件を満たしてもピーク未更新で介入は実施されなかった。

米ドル/円は当面、介入再開が想定しにくい

・足元の米ドル/円は154~155円で2024年7月の高値161円に未達である。3条件を同時に満たすには162円超が目安となる。

・介入は一定期間の急激な変動に対処する手段であり、単純な水準のみでは判断しないという位置づけである。

・2015年には介入なしで自律的に反転した先例がある。現状の米ドル/円の水準では介入再開の可能性は低い。

ユーロ/円は条件接近も、実施には高いハードル

・ユーロ/円は2024年高値(約175円)を更新し最高値更新が続く。5年移動平均線は約149円で+20%は約178.8円、120日線は約171.30円で+5%は約179.8円となり、180円超で3条件を満たす。

・2025年6月以降のユーロ/円上昇は金利差で説明できず、世界的な株高の流れと連動する側面がある。5年移動平均線とのかい離が再び20%超に達しつつある。

・ただし日本経済の感応度は米ドル/円ほど高くなく、ユーロ売り介入はユーロ保有の制約で継続が難しい。過去のユーロ/円介入は1999~2003年のユーロ買い介入が中心で、米ドル/円介入の補完にとどまった。