先週の中国株ですが、上海総合指数、深セン総合指数、創業版指数、香港ハンセン指数は揃って反発となりました。中国本土の株式市場ですが、週初は軟調な動きとなり、週後半に上昇しました。まず、23日(月)に発表された6月のHSBC中国製造業PMI速報値は50.8となり、5月の確報値49.4やアナリスト平均予想49.7を上回り、6ヶ月ぶりに景況感の境目である50を上回りました。ところが、予想を上回って景気回復を示す数値であったため、逆に中国当局が追加の景気刺激策を見送るとの懸念につながりました。これに加え、26日(木)に深センA株市場に3社が新規上場することなどから流動性への懸念が生じ、週前半は軟調な動きとなりました。

しかし、この新規上場した3社がいずれも値幅制限の上限(公開価格比44%高)まで上昇すると、相場の雰囲気が良くなりました。IPOへ向けられた資金がこのように大きく膨らみ、他の銘柄への購入資金へと、上手く回転するようになると、IPOはこれまでのような需給悪化懸念ではなく、相場上昇要因となります。このため、今回の大幅高は株式市場にとっては大きなプラスとなりました。個別では中国政府が内需主導型の経済成長を目指していることから、消費関連株が買われる一方、週末には中国保険監督管理委員会が賭博性のある保険商品の開発を禁止したことから保険株が売られました。

香港株は6月23日(月)に大きく売られ、6月26日(木)に大きく戻すという展開でした。23日(月)に下落した理由はやはり、6月のHSBC中国製造業PMI速報値が良好であったため、逆に刺激策への期待感が後退したためです。しかし、6月25日(水)に米国の2014年第1四半期のGDP成長率が改定値の1%から2.9%減と大幅に下方修正されると、逆に米国は低金利政策を継続させるとの見方が拡がり、香港株は大幅高となりました。今週の見通しですが、いよいよ7月から中国企業の上半期の決算発表が始まります。その内容により株式市場の方向性が大きく左右されそうです。その他、7月1日(火)には6月の中国公式製造業PMIとHSBC中国製造業PMI確報値、7月3日(木)には6月の中国公式非製造業PMIとHSBC中国非製造業PMIが発表され、こちらにも注目です。

コラム執筆:戸松信博