東京市場まとめ
1.概況
日経平均は750円高の4万8332円で大幅反発して寄り付きました。米地銀の信用懸念後退を受けた前週末の米国株高を背景に買いが先行したほか、自民党と日本維新の会の連立協議が進展したことで積極財政を掲げる高市新政権誕生への期待が高まり、相場は前場を通して堅調に推移しました。その結果、前週末比1,388円高の4万8970円と過去最高値を更新して午前の取引を終えました。
後場も買い優勢でスタートしました。日本維新の会の吉村代表が連立政権樹立で合意したとの報道が伝わると、日経平均は前場の引け値から上げ幅を拡大しました。構成銘柄の大半が上昇するなか、最終的に前週末比1,603円高の49,185円で大引けとなりました。
新興市場でも投資家心理が改善し、東証グロース250指数は3.0%高と反発しました。
2.個別銘柄等
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)は4.1%高の2,325円となり反発しました。16日に米地銀2行が不正融資をめぐる訴訟を起こしていたことが伝わり、前週には国内銀行株全体にも売りが波及していましたが、信用リスクに対する過度な警戒感が和らいだことで買戻しが優勢となりました。三井住友フィナンシャルグループ(8316)やみずほフィナンシャルグループ(8411)も堅調に推移し、銀行セクター全体が持ち直しました。
味の素(2802)は3.3%高の4,302円となり上昇しました。JPモルガン証券が目標株価を従来の4,400円から5,100円へと大幅に引き上げたことを受けて投資家の買い意欲が強まりました。目標株価は株式分割考慮ベースの上場来高値を上回る水準であり、同社が製造する半導体材料の需要がAIブームに伴い拡大していくとの見方が広がったことも株価の押し上げ要因となりました。
ソフトバンクグループ(9984)は8.5%高の24,985円となり、株式分割考慮後の上場来高値を更新しました。21日の首相指名選挙で高市新政権が誕生する可能性が高まるなか、日経平均株価が大幅上昇したことを背景に、指数寄与度の大きい同社株にも買いが波及しました。さらに、同社がロボティクス事業で買収を発表したスイスのFA・重電大手ABBが好決算を示したことから、AIおよびロボティクス事業への期待感が高まり、株価を一段と押し上げました。
アステリア(3853)は13%高の1,390円となり急騰しました。17日に「三菱UFJ銀行など3メガバンクが日本円や米ドルに連動するステーブルコインを共同で発行する方針」と報じられたことを受け、ステーブルコインの技術支援を行う同社株が関連銘柄として思惑的に買われました。
安川電機(6506)は7.2%高の4,474円となり、2月以来およそ8ヶ月ぶりの高値を付けました。スイスのFA・重電大手ABBが好決算を示したことから、世界的にロボット需要が拡大しているとの見方が強まりました。これを受けて国内のFA関連銘柄に買いが入り、同社株も大幅に上昇しました。ファナック(6954)も堅調に推移し、関連株物色の動きが広がりました。
VIEW POINT: 明日への視点
日経平均は「高市トレード」の影響で4万9000円を突破し史上最高値を再び更新しました。今晩の米国市場の企業決算の結果が明日の東京市場に影響を及ぼす可能性はありますが、首相指名選挙当日となる明日21日、事前報道のとおりに高市新政権が誕生すれば、積極財政への期待を背景に株高がさらに進展する展開が見込まれます。
(マネックス証券 暗号資産アナリスト 松嶋 真倫)
