希少性・象徴性・永続性─ダイヤモンドはこれまで金と並ぶ「永遠の資産」とみなされてきました。しかしその神話は、いま急速に揺らぎ始めています。天然ダイヤモンドは過去3年間で26%下落し、人工ダイヤモンドは2016年比で実に86%もの急落。かつて「富裕層の象徴」だった宝石が、いまやコモディティ化の道を辿っています。
婚約指輪での人工ダイヤモンド比率が過半に達し、天然ダイヤモンド需要が減退するなか、人工ダイヤモンドメーカーは新たな需要の波に乗ろうと過剰な増産に踏み切り、その結果市場には大量のラボ製ダイヤモンドが流入し、需給バランスが崩壊しています。
一方で、金価格は上昇しています。金はインフレと地政学リスクのなかで信頼資産として買われています。 その輝きは宝飾品にとどまらず、中央銀行の準備資産・国際決済の最終的な裏づけ・金融危機時の担保としての機能からも買われています。
金だけでなく、銀は太陽光パネルなど、銅はEVや再エネ送電網に欠かせぬ素材として、需要が膨らみ価格が上昇しています。現状ではこれらは、人工作製は難しくその代替性の乏しさもあるのでしょう。価値を支えるのは輝きだけではなく、用途と貢献が重要でしょうか。
人工で代替できるロマンより、社会を動かすリアル。輝きよりも働きが尊ばれる時代が、訪れているのかもしれません。私も働いて働いて働きます。
