坂口志文氏のノーベル生理学・医学賞受賞に続き、北川進氏がノーベル化学賞を受賞したというニュース。月並みですが、本当に誇らしいことですね。日経新聞によると、坂口氏は「サイエンスは目的がないところに道をつくるもの」と語られたそうです。北川氏も「興味をもって挑戦する姿勢、ビジョンが必要」と。どちらの言葉にも、好奇心という知の原動力が息づいています。

これらの言葉を読んで、以前聴講した京都大学・橋本幸士教授(物理学)の講演を思い出しました。橋本氏は「AIが拓く生成科学」というタイトルで、AIが科学と哲学を近づけたと語られていました。完全には覚えていませんが、こういう話だったと思います。

科学は「仮説→実験・観測→検証・修正」というサイクルで知を積み上げるが、突き詰めると「真理とは何か」「世界とは何か」「存在とは何か」という根源的な問いに行き着く。つまり哲学的思索が不可欠になる。アインシュタインがスピノザに学び、湯川秀樹が西田幾多郎の影響を受けたように。そしてAIがこのプロセスを加速させ、科学と哲学の距離を一気に縮めたのだと。

AIが科学的プロセスを担う世界で、人間(科学者)の役割は何でしょう。「その意味を問うこと」でしょうか。とすると坂口氏や北川氏の言葉と矛盾するのでしょうか。きっと矛盾ではなく、視点の違いなのだと思います。「知を生み出す自由を守る哲学」と「知に意味を与える責任の哲学」。どちらも、人間の知のあり方を深く見つめています。

最近「哲学」にとても興味を持っています。先日金沢で訪れた鈴木大拙記念館で購入し、ツンドクになっていた『禅と日本文化』もようやく興味深く読めました。若い頃には小難しく感じた哲学が、今は経験を経て心に響くテーマになっています。好奇心は何よりもパワフルな原動力です。良し悪しも早い遅いもありません。心が動いた瞬間を大切に少し深掘りしてみると、世界が広がったように感じられてワクワクしますね。

そしてふと思いました。大学時代、何も考えずに歩いていたあの道を、もう一度ゆっくり歩いてみたいなぁ、と。最近興味がある「哲学」。一からの勉強となりますが、読みやすいおすすめの本があれば、ぜひ教えてください!