森首相の諮問機関である産業新生会議において、商法改正の一部前倒しなどが決められました。電子メールによる株主総会への参加と、ストックオプションの付与範囲の拡大の二点につき、2001年中の商法の改正が決められたようです。
これは大変喜ばしいことです。然しながら日本の資本市場の活性化のため、ひいては日本経済の活性化のための喫緊の問題として今本当に必要な商法関係の手当は、目立たないかも知れませんがもっとベーシックな問題ではないでしょうか。電子メールによる総会は素晴らしいことですが、その前にまず株主にならなくては意味がありません。
成長企業の経営を助けるオプション制度の充実よりも、まずこの国の普通の人達が、手軽に優良企業、例えばトヨタとかソニーとか、の株を買えるようにすることではないでしょうか?50万円、100万円でしか株が買えないのと、アメリカのように超有名優良企業の株でも数千円から買えるのでは天と地ほどの差があります。いわゆる単位株制度の改革の問題は、地味なテーマですが我が国の資本市場の根底を左右する問題です。流通市場の整備なくして、資本市場は成り立ち得ません。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。