先日、ようやく大阪・関西万博に足を運びました。来場者の多さに圧倒され、事前予約はおろか当日予約もかなわず、行列制限のかかったパビリオンも少なくありません。また、とにかく暑かったため、ドイツビールやチェコビールにとどまらず、涼しいレストランでワインを楽しんだことも良い思い出です。
30分以内で入れるパビリオンをいくつか巡る中で、ふと「この万博のテーマってなんだっけ?」と考えました。シグネチャーパビリオンには入れず、見られたのは限られた国の展示だったため、「テーマの一貫性の薄さ」を感じたのです。各国が自由に未来像を表現しており、共通の物語を示しているというよりは、個性の競演に近い印象でした。
もっとも、これは時代の変化を映しているのかもしれません。かつて万博は国威発揚や近代化の競い合いの舞台でしたが、今では多様性や国際協調、地球規模課題への挑戦が主軸となっています。一枚岩のメッセージではなく、多様な体験の集合こそが「未来社会」を体現しているのかもしれません。統一感よりも、多様性そのものがメッセージという具合に。
今回、アフリカのパビリオンに入る機会が多かったのですが、モザンビークやアルジェリアの展示を見て「行ってみたい」という気持ちが湧き上がりました。両国とも若い人口構成を持ち、これからどんな未来を築いていくのか、とても興味深い地域です。ちょうどマネックスベンチャーズが、アフリカ特化のVCファンドを組成したこともあり、万博での体験が仕事での関心や未来社会のビジョンと直結することを実感しました。断片的な体験が、自分の仕事や関心を広げる契機になったのです。
万博は半年限りのイベントです。終わった後に残るのは「何を見たか」ではなく、「どんな象徴が記憶に刻まれたか」なのかもしれません。これは企業活動にも通ずるものです。どんな「象徴」を市場や社会に残し、未来に貢献できるのか。万博の熱気のなかで、その問いを自分ごととして突きつけられました。
