日本株はアウトパフォーム業種とアンダーパフォーム業種にはっきり分かれる
注目されたジャクソンホール会議では、パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長の講演で、9月のFOMC(連邦公開市場委員会)での利下げ開始の可能性が示されました。ダウ平均は2024年12月につけた史上最高値を8ヶ月ぶりに更新。8月22日の取引では、建設機械を手掛けるキャタピラー[CAT]がダウ平均採用銘柄の中で上昇率トップとなるなど、当面は景気敏感株への物色が意識されやすくなるとみられます。
さて、日本株は2025年4月に値幅を伴う急落を強いられ、急落後の安値が年初来安値となった銘柄が大半です。年初来安値からは戻り歩調にあるわけですが、戻りの強弱はまちまち。例えば、市場全体の動向を示すTOPIX(東証株価指数)よりも強く戻っているアウトパフォーム業種、TOPIXよりも戻りが鈍いアンダーパフォーム業種にはっきりと分かれます。
アウトパフォーム業種は「非鉄金属」「銀行」「機械」、アンダーパフォーム業種は「繊維製品」「鉄鋼」「海運」
そこで、東証33業種のうち、景気敏感業種に絞って戻りの強弱を見てみました。TOPIXが年初来安値をつけた4月7日を起点にみると、アウトパフォームが目立つ業種は、「非鉄金属」です。フジクラ(5803)などの電線株や、最近上昇が続く三井金属鉱業(5706)が牽引している模様です。「銀行」「機械」なども上位に並びます。
一方、アンダーパフォームが目立つ業種は、「繊維製品」「鉄鋼」「海運」です。アンダーパフォームといっても4月以降の基調は上向きです。今後、日本株の底上げ機運がさらに強まる想定をした場合、このアンダーパフォームの業種は出遅れ物色の対象となりえるかもしれません。アウトパフォーム業種を逆転するまでの動きは想定しづらいですが、不安定な秋相場に入る前の守りの姿勢といった観点でも重要なポイントになるとみられます。
アンダーパフォーム業種の「勝ち組」=弱い業種の中で相対的に上昇率の大きい銘柄は?
アンダーパフォーム業種の中でも、勝ち組を見つけることが重要です。「弱い業種の中の弱い銘柄」ではなく、「弱い業種の中の強い銘柄」です。強い銘柄というのは相対的に上昇率が大きい銘柄のこと。例えば、「繊維製品」の業種では規模が大きい銘柄として、帝人(3401)、東レ(3402)、東洋紡(3101)が挙げられますが、最も上昇しているのは東洋紡です。
「鉄鋼」では、日本製鉄(5401)、JFEホールディングス(5411)、神戸製鋼所(5406)の中で、勝ち組は神戸製鋼所です。「海運」では、日本郵船(9101)、商船三井(9104)、川崎汽船(9107)のうち、川崎汽船のパフォーマンスが良好です。
出遅れ銘柄の選定方法はたくさんありますが、これはあくまでも一例に過ぎません。人気のある時の株に便乗するのは簡単ですが、9月の秋相場を前に今考えることは、相場全体が急変した場合でも損失を最小限に抑えるにはどうしたらよいか、という発想です。
