先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数と創業版指数、ハンセン指数はそろって大幅下落。特に週末4月25日(金)の下落幅が大きなものとなっています。本土株が下がった原因は新規株式公開(IPO)の再開が予想されて需給が悪化する懸念が出たことと、軟調な経済指標から景気減速への懸念が出たことによるものです。まず、中国政府は2014年1月から1年2ヶ月ぶりにIPOを再開したのですが、新しい規則に不備があるとして3月に一旦中止。しかし中国証券監督管理委員会(CSRC)は、先週末までに、IPO計画を発表した企業数が97社となったことを発表しており、これがIPOの再開が近いことを想起させ、需給悪化懸念につながっています。

一方、4月23日にHSBCが発表した4月の中国製造業景況指数(PMI)速報値は3月の確報値である48.0から48.3へ小幅上昇したものの、景況感の境目である50を引き続き下回っています。一方で、前月からは改善しているので追加の景気刺激策を期待できるほど悪いものでもなく、このまま軟調な経済状況が当面は続くのではないかとの懸念が出ています。なお、4月23日には国務院(中国の内閣)がインフラやエネルギー、ITへの民間投資拡大を容認する方針を発表したのですが、材料にはなりませんでした。確かに国営企業が大きなシェアを持つ分野への民間投資拡大容認は、競争原理を導入する点で長期的に中国経済にはプラスなのですが、短期的に国営企業にはマイナスになりますし、その内容も現在の軟調な経済情勢を反転させるほど威力のあるものではありませんでした。

香港株式市場も基本的には本土株式市場と同じような動きになっています。香港ハンセン指数は4月25日(金)の大幅下落によって、株価が200日移動平均線、50日移動平均線を共に下に突き抜けてしまいました。これは弱気相場入りする際の1つのサインでもあります。今週にFOMCを控える上、5月初めには中国の長期連休が控えておりますので、一旦ポジションをクローズする機関投資家が多くなってくる可能性があると思いますので、注意が必要です。

コラム執筆:戸松信博