東京市場まとめ

1.概況

日経平均は35円高の37,590円と反発で寄付きました。トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が電話会談を行い、関税政策を巡って2度目の閣僚級協議の早期開催を確認したことから、米中関税交渉の進展期待が投資家心理を支えました。ドル円相場が円安に振れたことも後押しし、徐々に上げ幅を拡大した日経平均は176円高の37,730円で前引けとなりました。

後場の序盤は上げ幅を縮小しての推移となるも、中ごろより持ち直し、14時5分に201円高の37,756円をつけ本日の高値を更新しました。その後は伸び悩み、再び上げ幅を縮小するも最終的には187円高の37,741円で大引けとなりました。

新興市場では東証グロース250指数が続落、2.1%安で取引を終えました。

2.個別銘柄等

パナソニック ホールディングス(6752)は2.4%安の1,567.5円をつけ続落となりました。トランプ米大統領が5日、「数十億ドルの予算を節約する最も簡単な方法は、イーロン・マスク氏に対する政府補助金と契約を打ち切ることだ」とSNSに投稿し、マスク氏がCEOを務めるテスラ[TSLA]の業績が懸念され、またテスラに車載電池を供給する同社にも連想売りが出ました。

オリエンタルランド(4661)は4.1%高の3,278円をつけ3日ぶりに反発となりました。「変動価格制のチケットについてオリエンタルランドの高橋渉社長が『見直したいと考えている』と述べた」と報じられ、採算改善や東京ディズニーリゾートへの入園者増加への期待感が買いを呼びました。

小田急電鉄(9007)は2.2%高の1,656円をつけ反発となりました。外資系証券が、同社の投資判断を3段階評価で真ん中の「ニュートラル」から最上位の「オーバーウエート」へ、また目標株価は従来の1,600円から1,900円に引き上げたことが、買い材料となりました。

不動産サービスを手掛けるトーセイ(8923)は一時16.6%高の2,877円をつけ年初来高値を更新しました。米投資ファンドのダルトン・インベストメンツが同社株を5.0%取得したことが明らかとなり、株主還元強化等、同社への圧力が強まるとの見方が思惑買いを呼びました。

ジンズホールディングス(3046)は0.8%高の8,510円をつけ3日続伸となりました。5月の既存店売上高(速報値)は前年同月比15.7%増であったと発表し、堅調な売上動向を好感した買いが入りました。

宇宙開発のispace(9348)はストップ安水準となる28.7%安の744円と大幅続落となりました。今朝方、2度目となる月面着陸に挑んだものの、月面着陸船との通信回復が見込めず、月面着陸が失敗に終わったことで、期待が先行して買われてきた面もあり、売りが膨らみました。

VIEW POINT: 明日への視点

日経平均は週間で0.6%安となりました。200日移動平均線(6日大引け時点で37,874円)を抵抗線に上値の重い展開が続いており、上抜けにはポジティブな材料が必要と考えられます。来週にむけて、今晩発表される5月の米雇用統計に注目です。4日に発表されたADP雇用者数の先行データでは、労働市場の悪化が示唆されました。

今晩発表の雇用統計(非農業部門雇用者数)は事前の市場予想では前月比13万人増と前月より伸びが鈍化する数値が予想されています。より弱い数値が出た際には米景気後退懸念が意識される可能性があるでしょう。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)