近年、株主還元において安定性と持続可能性を重視する投資家が増える中、DOE(株主資本配当率:Dividend on Equity Ratio)に着目する動きが広がっています。DOEは、企業が”自己資本”に対してどれだけの配当を行っているかを示す指標であり、”当期利益”に対する配当割合を示す配当性向とは異なり、短期的な利益の増減に左右されにくく、企業が一貫してどの程度株主に還元しているかをより安定的に捉えることができる点が特徴です。特に米国では、短期的な業績変動に左右されずに還元水準を維持するために、DOEを意識した配当方針を採る企業も増えており、個人投資家の中でもDOEの注目度が高まっています。

一般にDOEが高いほど株主還元に積極的であるといえますが、一方でDOEや配当性向が100%を超えるような水準は、特別配当や一時的な利益・損失などによって指標が異常値化している可能性もあり、注意が必要です。

そこで今回は、S&P500構成銘柄の中からDOEが高い銘柄を上位から抽出し、DOEや配当性向が過度に高い(100%以上)企業を除外することで、株主還元における持続性と安定性の両面を備えた企業群を選定しました。選出された15社には、ディフェンシブな老舗企業や、堅実な成長と配当のバランスを両立する銘柄が並んでいます。代表的な企業としては、コカコーラ[KO]、ペプシコ[PEP]、アムジェン[AMGN]、マスターカード[MA]、ロッキード・マーチン[LMT]などが挙げられます。

DOEは表面的な配当利回りや配当性向では見抜けない、企業の本質的な株主還元力を測る上でのヒントとなる指標です。今後の投資判断の参考として、ぜひ注目してみてはいかがでしょうか。

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