東京市場まとめ

1.概況

日経平均は520円安の37,912円と反落して寄付きました。トランプ政権の関税政策に対する米国際貿易裁判所の違法判断について、米連邦高裁がその効力を一時的に停止する決定を下したことから、関税への懸念が再燃しました。また、外国為替市場で円高基調となり、半導体など主力の輸出関連株を中心に売られる展開となった結果、下げ幅は一時684円安まで広がり、37,748円でこの日の安値を付けました。安値を付けた後も軟調に推移し、前場は542円安の37,890円で引けました。

後場に入ってからも、米国の関税政策に対する警戒感が強まるなか、しばらくは500円安付近でもみ合う展開が続きました。一方、日本時間の今夜には赤沢経済再生担当大臣がベッセント米財務長官と4回目の日米関税交渉に臨む予定であることから、投資家の様子見姿勢から売りの勢いが弱まるなか、一時は318円安の38,114円まで下げ幅を縮める場面も見られました。しかし、引けにかけて再び売りが強まり、結局467円安の37,965円で取引を終え、反落となりました。

新興市場では東証グロース250指数が0.7%高で取引を終え、反発しています。

2.個別銘柄等

外国為替市場が円高に進行するなか、前日に上昇が目立っていた半導体関連株の下落が見られました。東京エレクトロン(8035)は4.8%安、アドバンテスト(6857)は3.6%安、ディスコ(6146)は5.6%安、レーザーテック(6920)は4.4%安、ルネサスエレクトロニクス(6723)は3.6%安となりました。

主力の外需株も売られ、ソニーグループ(6758)と任天堂(7974)は4.0%安、日立製作所(6501)は0.9%安、キーエンス(6861)は2.7%安となりました。

一方で、医薬品株は指数の支えとなり、大塚ホールディングス(4578)は6.9%高、エーザイ(4523)は2.4%高、武田薬品工業(4502)は1.5%高、塩野義製薬(4507)は0.8%高となりました。

東海カーボン(5301)は、一時5.7%高の1057円を付け、年初来高値を更新しました。証券会社による投資判断や目標株価の引き上げが材料視されました。

TOYO TIRE(5105)は、一時7.8%高の3090円を付け、年初来高値を更新しました。英紙フィナンシャル・タイムズが物言う株主(アクティビスト)として知られる英ファンドのパリサー・キャピタルが同社株を取得したと報じたことから、同社の株主還元強化を期待する思惑買いが集まりました。

半導体用高純度化学材料のトリケミカル研究所(4369)は、本日15時に場中決算を発表し、売上高は前期比100.6%増、営業利益は同157.6%増となったものの、株価は前日比5.8%安となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は、米関税政策に対する警戒感が再燃するなか、外国為替市場が円高基調にあることもあり、半導体関連株など主力の外需株を中心に売られ、1%以上の反落となりました。

明日以降の材料としては、日本時間今夜に開催される予定の赤沢経済再生担当大臣とベッセント米財務長官の4回目の関税交渉が注目されます。6月中旬に実施予定の日米首脳会談に向けて、交渉進展の材料が得られるか期待が募ります。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)