直近5年では6月だけが唯一、すべての年で円安になっている

米ドル/円相場は2025年5月12日の戻り高値(1米ドル=148.64円)をつけてから、円高への揺り戻しが生じていますが、かなり一方的な動きです。日足チャートを見ると、陰線が連続しながら円高が進行している様子がうかがえます(図表1)。

【図表1】米ドル/円 日足チャート(3ヶ月)
出所:マネックス証券ウェブサイトより(2025年5月27日13時時点)

年初来安値は2025年4月22日につけた安値(139.86円)です。そこまでにはまだ距離がありますが、あと3円程度ですから時間の問題ともいえます。下回ってしまうと、2025年1月高値(158.87円)からの下落波動は一段安との見方になるでしょう。

今回の相場は「ダブルボトム」の形成となるか

一方、直近5年間を振り返ると、12ヶ月間の中で6月だけが唯一、すべての年で円安になりました(図表2)。

【図表2】米ドル/円 月足チャート(5年)
出所:マネックス証券ウェブサイトより(2025年5月27日13時時点)

このような短い期間のアノマリーも念頭に置きながら、6月以降でダブルボトムの想定をしてみてもよいかもしれません。

もし、2025年4月22日の安値を下回らず、5月12日の戻り高値を上回れば、「ダブルボトム」の形成と言えるでしょう。チャートがアルファベットで「W」の形になるイメージです(図表3)。

【図表3】米ドル/円 日足チャート(3ヶ月)
出所:マネックス証券ウェブサイトより(2025年5月27日13時時点)

ダブルボトムとは

ダブルボトムは下降トレンドから上昇トレンドに変化する過程で形成される底固めのパターンです。ダブルボトムは、一目均衡表などでは「準備構成」と表現され、相場が下落した後、同じ程度の深さの安値(谷)が2つ形成されるパターンを指します。理想は2つ目の安値(谷)が1つ目の安値(谷)を下回らないことです。2つの谷は、中央の高値(山)を中心にほぼ左右対称となるのが望ましいですが、実際の相場ではきれいに左右対称になることは少ないです。

また、パターンが形成される過程では、谷が2つで終わるのか、もしくは2つ目の谷が形成されずに下降トレンドが続く可能性もあります。そのため、パターン形成中に見えても、それは単なる想定に過ぎません。パターンの完成は、中央の高値(山)から右へ水平に延長した名称「ネックライン」を、2つ目の谷が形成された後に上回れば、上昇トレンド入りと判断します。パターンが完成した後の目標値は、ネックラインから最も深い谷までの幅をネックラインに加えて上値目標とします。

さらなる円高トレンドを阻止した現象だった可能性

上記のパターンを今の米ドル/円相場に当てはめてみます。1つ目の安値(谷)が2025年4月22日安値(139.86円)となった場合、次の安値(谷)は6月中までには反転し、円安方向に動かなければなりません。その次は、ネックライン(5月12日高値148.64円)を上回る必要があります。そこで初めてダブルボトムが完成します。目標値は、157.42円(148.64+(148.64-139.86))です(図表3)。気の遠い想定ですが、6月以降の相場を見る上での大切な視点の1つです。

これは、2024年9月安値(139.56円)を下回っていない状況のため、意味がある想定なのかもしれません。少しばかりマニアックな見方ですが、筆者としては2024年9月安値を下回らない状態で、2025年5月12日高値まで大きな値幅が生じたこと自体が、さらなる円高トレンドを阻止した重要な現象だったように思います。