今週(5月2日~5月8日)の相場動向
相場回顧 BTC(ビットコイン):米州の準備金法案の可決で買い優勢の展開
ビットコインは、米国の一部州で審議が進むビットコイン準備金法案の動向を背景に乱高下するも、最終的には買い優勢の展開となった。
アリゾナ州の知事が州の基金によるビットコイン購入を可能にする法案を拒否したことで、失望売りが強まった。米国株の連騰が一服したこともあり、一時はBTC=94,000ドル(約1,353万円)付近まで下落した。
しかし、ニューハンプシャー州で米州初となるビットコイン準備金法案が可決。さらに、米中通商会議の開催発表も支えとなり、価格は急反発してBTC=97,000ドル(約1,396万円)を回復した。
その後、FOMC(米連邦公開市場委員会)では予想通り金利据え置きが決定され、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は利下げに慎重な姿勢を維持したが、イベント通過を受けて市場では安心感が広がった。加えて、アリゾナ州でデジタル資産の未請求資産(※)を保有対象とする法案が成立したことで、州レベルでのビットコイン準備金拡大への期待が高まり、買いの勢いが強まった。さらに、米英の関税交渉合意が報じられ、BTC=100,000ドル(約1,450万円)を一気に上抜けた。
※未請求資産(Unclaimed Property):長期間使用されていない銀行口座や証券口座、保険金、小切手、預金など、所有者の所在が不明となった資産を指す。各州政府が一時的にこれらの資産を預かり、正当な所有者が現れた場合に返還する仕組みとなっている。

来週(5月9日~5月15日)の相場予想
BTC(ビットコイン)は10万ドル突破で買いが入りやすいものの、米中貿易摩擦を巡る懸念が相場の重しとなる可能性
来週のビットコインは、10万ドル突破で買い安心感が広がる一方、米中貿易摩擦を巡る懸念が相場の重しとなる可能性がある。
ニューハンプシャー州やアリゾナ州での導入事例を受け、他州でも関連法案が次々と可決されれば、ビットコインの買い圧力が一段と強まることが期待される。また、2025年3月に署名された大統領令に基づくビットコイン準備金に関する評価報告書が、近日中に公表された場合、その内容次第で相場がポジティブに反応する展開も想定される。
一方で、米中貿易摩擦を巡る懸念が相場の重しとなる可能性もある。スイスで予定されている米中通商協議で成果が得られなければ、世界的なリスクオフムードが再燃し、ビットコインにも売り圧力が波及する恐れがある。さらに、ロシアによる一方的な3日間の停戦が始まったものの、ウクライナはこれに反発しており、両国間の緊張激化がリスクオフムードを強める可能性もある。
直近の価格レンジとして、上値はBTC=106,000ドル(約1,537万円)、下値はBTC=98,000ドル(約1,421万円)を意識する。