2025年4月25日(金)8:30発表
日本 東京都区部消費者物価指数2025年4月分速報
【1】結果:東京コアCPIは前年同月比3.4% コアコアCPIも3%を上回る

2025年4月の東京都区部消費者物価指数(以下、東京CPI)は、ヘッドラインの総合指数が前年同月比3.5%上昇と、前回3月(改定値)から伸びが加速する結果となりました。生鮮食品の伸びが鈍化するも、そのほかの幅広い品目にて物価の伸びが加速し、ヘッドラインを押し上げています。

コア指標である生鮮食品を除く総合指数は前年同月比3.4%上昇、変動性の高い生鮮食品とエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)は同3.1%上昇と、3指数揃って3%台と高い伸びとなりました。3指数間の差が小さいことからもわかるように、4月のデータでは変動性の高い品目よりも、サービスや耐久消費財にインフレ傾向が見られる内容となりました。
【2】内容・注目点:授業料等の一時要因はあるものの、全体的に強い内容

東京都区部のサービスCPIは、2024年4月から実施された東京都の高校授業料無償化施策の影響が年次効果にて剥落したことが影響し、前年同月比2.0%と前の月の同0.8%上昇から大きく伸びが加速しました。中身を見ると、私立高校の授業料が全体を0.4ポイント押し上げており、全体と比較しても大きな寄与となりました。
一方で、そのほかのサービスを構成する品目も上昇が見られ、帰属家賃等が上昇に寄与しています。変動性の高い品目(コストプッシュ)によるインフレの落ち着きが見られる一方で、サービスや教養娯楽用品(今回で言えば、文具等)の価格上昇が確認され、4月という期初の価格改定が進んだものと推察されます。
ディマンドプルインフレ(需要増加による物価上昇)の兆しが見える点では、日銀の目指す賃金と物価の好循環を後押しする内容であったと考えられます。
【3】所感:サービスが横ばいから上昇基調となるかがカギ

東京CPIは全国CPIの先行指標とされており、5月に発表される2025年4月全国CPIにおいても期初の価格改定が一定程度反映されるものと推察されます。
ディマンドプルインフレが浸透すれば、日銀が基調的な物価を見る1指標として注目される期待インフレ率にもじわじわと上昇圧力がかかるものと考えられるでしょう(図表4)。足元の不確実性の高まった状況では、賃上げ機運の腰を折る可能性が高く利上げは実施しづらいものと想像していますが、今回のデータのようなコストプッシュではないインフレが続けば、この先利上げも視野に入ると考えられます。
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太