日経新聞によると、パリ証券取引所が近々高級ワインの先物を上場させるそうです。これは一般的な話題として耳目を引くであろう以外に、なかなかおもしろいことが今後起こるかも知れません。そもそも先物は天候の変化などによって生産高が変わる農作物の生産者に経済的なヘッジの手段を与えるために考案されたものですから、そういった意味ではごく自然なことです。ただし、通常は生産量の多い一次産品に対して先物はあります。ワインはブドウという一次産品に対して、杜氏の手が施されています。しかも高級ワインというと生産量もそれほどは多くないでしょう。恐らく先物の最終的な決済は、ワインの現物によって行われるのだと思いますが、そうすると例えば予め先物を売っておいて、製造過程の最終段階でわざと味を落としてしまうとか、或いは先物を買っておいて、あとで樽を壊してしまうとか(これはあの007シリーズのゴールド・フィンガーのアイデアと一緒です)、或いは実際にこのような悪いことをする人はいなくても、味にぶれが出て値段が変わるといろいろな憶測が飛んだりとか、少なくとも推理小説の1つぐらいは出てきそうです。今から楽しみですね。