東京市場まとめ

1.概況

トランプ米政権による関税引き上げを巡って、カナダとメキシコに対し「関税の軽減に向けた道筋を5日にも発表する可能性がある」と伝わったことで日経平均は14円高の37,345円で寄付きました。朝方は荒い値動きとなり、9時20分頃から反落し、同27分には152円安の37,178円をつけ本日の安値を更新しました。

その後は安値圏で一進一退となるも、前場の後半から持ち直し25円高の37,356円で前引けとなりました。後場の序盤は株価指数先物に買いが入ったことで、日経平均も堅調に推移しました。13時19分に275円高の37,606円をつけ本日の高値を更新しました。

トランプ米大統領の議会演説が行われる中、上げ幅を縮める場面が見られるも最終的には87円高の37,418円で大引けとなりました。新興市場では東証グロース250指数が1.2%安となり続落で取引を終えました。

2.個別銘柄等

ファーストリテイリング(9983)は1.7%高の47,190円をつけ反発となりました。4日に発表したユニクロにおける2月の国内既存店とEコマースの売上高が前年同期比12.2%増となり、4ヶ月連続で前年同月を上回ったことが、買い材料となりました。

ニトリホールディングス(9843)は一時2.8%安の15,305円をつけ、昨年来安値を更新しました。客数が13.2%減となり、2月の既存店売上高が前年同月比8.3%減と2ヶ月連続で前年実績を下回ったことが売り材料になりました。

ヤクルト本社(2267)は1.0%安の2,939.5円をつけ、4日続落となりました。外資系証券が投資判断を真ん中の「中立」から最下位の「売り」に引き下げ、これを材料視した売りが優勢となりました。アナリストからは持続的な利益成長を前提とする市場のコンセンサスが高すぎるといった指摘がされています。

システム商社の内田洋行(8057)は11.8%高の7,650円をつけ大幅反発となりました。4日に第2四半期決算を発表し、通期の当期純利益の見通しを従来の72億円から前期比7.2%増の75億円へと上方修正したことが好感され、買いが集まりました。

ダイドーグループホールディングス(2590)は8.6%安の2,737円をつけ、大幅続落となりました。4日、足元の事業環境の厳しさを踏まえ、来期を最終年度とする中期経営計画の業績目標の見直しを発表しました。営業利益率や投下資本利益率(ROIC)の見通しを下方修正する内容で、市場は採算悪化の影響が長期化するとの懸念から売りが優勢となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

日経平均は反発するも、トランプ米政権の政策や世界景気の不透明感から買いの勢いは限定的でした。明日に向けて、今晩発表される2月の米ISM非製造業景気指数に注目が集まります。

市場では前月の52.8ポイントから縮小となる52.5ポイントが予想されており、非製造業においても先行きの不透明感を反映する内容となりそうです。米政権の関税政策等で不透明感が拭えないことから、景況感の低下が引き続き株式市場の重荷となる可能性があります。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)