モトリーフール米国本社、2025年2月18日 投稿記事より
バークシャー・ハサウェイのAI関連投資は2社に集中
人工知能(AI)革命はますます勢いを増し、これまでのところ、今世紀で最も変革的なテクノロジートレンドとなる見込みです。また、長期投資家にとって富を生み出す最高の機会の1つとなる勢いです。
長期投資といえば、バークシャー・ハサウェイCEOのウォーレン・バフェット氏以上の実績を持つ人物はいるのでしょうか?「オマハの賢人」はバークシャーの時価総額を1兆超にまでに成長させ、この投資コングロマリットは今や総額2,990億ドルの公開株式ポートフォリオを保有しています。
その2,990億ドルの株式ポートフォリオのうち約24%は、AIの未来に大きく賭けているたった2つの企業に集中しています。本レポートでは、バークシャーが投資している2つのテクノロジー大手企業について紹介します。
この巨大ハイテク企業への投資は、今でもバークシャーの最大の賭け?
キース・ヌーナン(アップル担当): バークシャー・ハサウェイの株式ポートフォリオの約23%を占めるアップル[AAPL]は、バークシャーにとって依然として、大差で最大の保有銘柄です。その延長線上で、アップルは同社にとってAI分野での最大の賭けでもあります。しかし、バークシャーはここ1年、同社への出資比率を大幅に減らしてきました。
一時期、アップルは同社の株式ポートフォリオの半分超を占めていましたが、バークシャーは2024年に6億株を超える株式を売却しています。バフェット氏がバークシャー最大の保有株から分散を図る動きには、実はAIが一役買っている可能性があります。
iPhoneはアップルにとって最も重要なパフォーマンス・ドライバーであり続け、同社は「Apple Intelligence」というソフトウェアを、業界をリードするハードウェアのセールスポイントとして前面に押し出してきました。しかし、残念なことに、これは巨大ハイテク企業にとっていくつかの課題を生み出しています。
同社にとって中国は、米国に次ぐ2番目に大きな市場ですが、実はこのソフトウェアは同国の顧客には提供されていません。中国の規制により、外国製品は国内パートナーを通じて販売する必要があるため、Apple Intelligenceは同国内のiPhone 16ラインには搭載されていないのです。
一方、中国製のスマートフォンは独自のAIプラットフォームとインターフェースを提供しており、アップルはその結果、中国における成長環境がより厳しくなっています。
2025年度第1四半期(2024年12月31日終了)の売上高は、前年同期比4%増の1,243億ドルとなりました。一方、中国での売上高は前年同期比11%減の約185億ドルでした。しかし、アップルは現在、Apple IntelligenceプラットフォームをiPhoneに導入するためにアリババ・グループ[BABA]と契約を締結しており、業績が大幅に改善する可能性があります。
バフェット氏とバークシャー・ハサウェイは、アップルが素晴らしい企業であるとは引き続き考えているようですが、同氏が根っからのバリュー投資家であることに変わりはありません。つまり、長期的なAIの投資機会があるにもかかわらず、アップル株を売却する動きは、バークシャーが実際にこのトレンドへのエクスポージャーを減らしていることを意味します。
バークシャーのポジションは小さいが、強力なAIプレー
ジェニファー・サイビル(アマゾン担当):アマゾン・ドットコム[AMZN]は、今日のAI業界において最も注目されている銘柄の1つであり、リーダーとしての地位を確立し、AI技術の台頭から利益を得るために、幅広いサービスを開発しています。また、米国最大のeコマース企業であり、世界最大のクラウドサービス企業でもあるアマゾンはそのトップの地位を活かして、このトレンドにおける市場シェアを獲得することが可能です。
その最も顕著な取り組みは、アマゾン ウェブ サービス(AWS)傘下のクラウドサービス部門です。AWSは顧客にとって大きな変化をもたらす、多くの製品やサービスを取り揃えており、それらは継続的に展開されています。
「Amazon Q」は、多くのタスクを引き受け、多くの問題の解決策を見つけることができるAI搭載アシスタントです。複数行(multi-line)のコーディング支援で最も高い受け入れ率が報告されており、そのエージェント型AIはコーディング作業を80%スピードアップしてくれます。アマゾンによれば、顧客は労働時間を45万時間節約したことになります。
クラウドクライアント向けには、3段階の生成AIサービスを提供しています。基本レベルには、開発者が完全にカスタマイズされた大規模言語モデル(LLM)を構築するためのツールが用意されており、そこでデータをトレーニングします。中間レベルの「Amazon Bedrock」では、開発者はアマゾン独自のLLMにアクセスすることができます。トップレイヤー(最上位)には、すぐに使えるツールがあり、中小企業が画像やコンテンツなどを生成するのに役立ちます。
アマゾン経営陣は最近、Anthropic(非公開)に40億ドルの投資を行い、同社と戦略的協力関係を結んでいます。Anthropicは、生成AIの構成要素である基礎モデルの作成にアマゾンのチップを使用しています。AnthropicはAIモデルを開発しており、クラス最高のクロード生成AIモデルを支える技術を有しています。
アマゾンはAI事業で驚くべき成果を上げており、すでに数十億ドルの売上高を生み出しています。経営陣は、これは氷山の一角に過ぎず、クラウドサービスとそれらが提供する生成AIソリューションへの大きなシフトが起こると考えています。
このテック大手企業は他の事業分野でもAIを活用しており、eコマースプラットフォームでサードパーティーのセラーに生成AIサービスを提供し、競争力のある広告事業に幅広いデータを活用しています。アマゾンはバークシャー・ハサウェイのポジションの中でも小規模の部類に入り、全体の1%にも満たないものの、ポートフォリオ全体に成長力を加えています。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アマゾン・ドットコムの子会社であるホールフーズ・マーケットの元CEOであるJohn Mackey氏は、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Jennifer Saibilはアップルの株式を保有しています。元記事の筆者Keith Noonanは記載されているどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はアマゾン・ドットコム、アップル、バークシャー・ハサウェイの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社はアリババ・グループを推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。