東京市場まとめ

1.概況

米国の関税政策を巡る先行きの不透明感が意識され、日経平均は50円安の38,736円で寄り付きました。9時8分には180円安の38,606円をつけ、本日の安値を更新しました。朝方は安値圏で推移するも、10時ごろから持ち直し上昇に転じました。しかし、上値は重く前場は40円安の38,746円で取引終えました。

後場は好業績銘柄に買いが入り、相場を押し上げました。13時ごろより再び上昇に転ずると、その後は上げ幅を拡大し14時24分に108円高の38,787円をつけ、本日の高値を更新しました。

その後は、明日が祝日による休場ということもあり、上げ幅を縮小し最終的には14円高の38,801円で大引けとなりました。新興市場では東証グロース250指数が5日続伸、1.7%高となりました。

2.個別銘柄等

ディー・エヌ・エー(2432)はストップ高となる23.1%高の3,732円をつけ、大幅反発で取引を終えました。7日に第3四半期決算を発表し、最終損益が157億円の黒字(前年同期は312億円の赤字)となり、大幅な改善をみせたことで買いが入りました。2024年10月にリリースしたスマートフォン向けゲームPokemon Trading Card Game Pocket(通称ポケポケ)や横浜DeNAベイスターズの日本シリーズ優勝が収益に寄与しました。

電子部品メーカーの太陽誘電(6976)はストップ高となる22.0%高の2,768円をつけ、3日続伸となりました。7日に第3四半期決算を発表し、通期の営業利益が従来から24億円上方修正となる100億円(前期比10.1%増)との見方を示し、一転して増益となる見通しとなったことが買いを呼びました。

日本製鉄(5401)は0.5%安の3,340円をつけ、4日ぶりに反落となりました。トランプ大統領は9日、同社による米鉄鋼大手USスチール[X]の買収計画について、「過半出資することはない」と述べ、また対米向けの鉄鋼・アルミ製品の輸入について25%の関税を課すとも明らかにし、先行きの不透明感から株価はネガティブな反応となりました。

SUMCO(3436)は7.0%高の1,237円をつけ、3日続伸で取引を終えました。7日に本決算を発表し、事業構造改革費用を58億円計上したことで、当期純利益は前年同期比68.9%減の198億円となるも、事業構造改革を評価する声もあり株価は上昇しました。

明治ホールディングス(2269)は一時5.8%安の2,871円をつけ、続落となり昨年来安値を更新しました。本日10日に第3四半期決算を発表し、営業利益は前年同期比4.7%減の664億円となりました。医薬品の棚卸資産評価減や研究開発費の増加により、前年同期比および第2四半期比でも減益となり、失速傾向がうかがえたことから売りが優勢となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

週末に行われた石破首相とトランプ大統領の首脳会談を無難に通過したことでいったんのリスクオン姿勢がうかがえました。今週で日本の決算発表は一巡しますが、本日も大引け後にエムスリー(2413)、ソフトバンク(9434)、オムロン(6645)、資生堂(4911)の決算発表が予定されており注目です。

また11日にはFRBパウエル議長が上院銀行委員会で金融政策に関し、半期に1度の証言を行う予定で、利下げの見通しへのヒントがあるか注目されます。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)