【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 44,544.66  ▼337.47 (1/31)
NASDAQ: 19,627.44  ▼54.31 (1/31)

1.概況

先週末の米国市場では、主要3指数が揃って反落しました。トランプ米政権が1月31日の記者会見で、2月1日からカナダとメキシコに25%、中国に10%の関税を課すと発表したことを受け、株式市場は売りが優勢となりました。

ダウ平均は、寄付き前に発表されたPCEデフレーターなどの経済指標がほぼ市場予想通りでサプライズがない中、好決算を発表したアップル[AAPL]の上昇を追い風に172ドル高で取引を開始しました。しかし、その後じりじりと下げ幅を縮め、米政権の関税賦課に関する報道が伝わると、売りが優勢となりました。

取引終盤にかけて下げ幅を広げていくと、結局ダウ平均は337ドル安の44,544ドルで取引を終えました。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は、54ポイント安の19,627ポイント、S&P500株価指数は30ポイント安の6,040ポイントで取引を終えています。

2.経済指標等

2024年12月の米個人支出は前月比0.7%増となり、市場予想の0.5%増を上回る結果となりました。PCEデフレーターは前年同月比2.6%上昇し市場予想を上回りました。PCEコアデフレーターは同2.8%上昇と市場予想通りの結果となりました。

3.業種別動向

S&P500の業種別株価指数では、全11業種のうちコミュニケーション・サービスと一般消費財・サービスの2業種が小幅に上昇しました。一方で、エネルギーや情報技術、素材などの9業種が下落となり、なかでもエネルギーは2%以上下落しました。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄では、全30銘柄のうちアマゾン・ドットコム[AMZN]やアムジェン[AMGN]、シスコシステムズ[CSCO]、マイクロソフト[MSFT]の4銘柄上昇しました。特に、アマゾン・ドットコムは1%以上上昇しています。一方で、26銘柄が下落し、なかでも市場予想を下回る決算を受けてシェブロン[CVX]が4%以上下落したほか、エヌビディア[NVDA]が3%以上下落、シャーウィンウィリアムズ[SHW]が2%以上下落しました。その他、ナイキ[NKE]やボーイング[BA]、トラベラーズ・カンパニーズ[TRV]、スリーエム[MMM]、アイビーエム[IBM]が1%以上下落しています。

ダウ平均構成銘柄以外では、ソフトウェア開発のアトラシアン[TEAM]が、第2四半期決算にて、前年同期比21%の増収を達成したほか、第3四半期の売上高見通しも市場予想を上回り、14.9%上昇しました。一方で、HOKAなどのフットウェアブランドで知られるデッカーズ・アウトドア[DECK]は、通期収益を上方修正するも市場予想に届かず20.5%下落しました。また、薬局チェーンのウォルグリーン・ブーツ・アライアンス[WBA]は、配当の一時停止を発表したことが嫌気され、10.3%下落しました。

5.為替・金利等

米長期金利は前日から0.03%高い4.54%となりました。ドル円は、154円台後半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は、先週末の米国市場の反落を受け、軟調なスタートが予想されます。一方、ソフトバンクグループ[SBG]と米オープンAIが日本で人工知能(AI)インフラの整備に乗り出し、500社以上の日本企業にAIの重要性を訴え、参加を呼びかけるとの報道が伝わっています。これを受け、個別ではAI関連銘柄やデータセンター関連銘柄の動向に注目が集まります。

また、今週は主力銘柄の決算発表が引き続き相次ぐほか、米国ではISM景気指数やJOLTS求人統計、雇用統計などの主要経済指標の発表が予定されています。その他、日米両政府は2月7日に米ワシントンで石破茂首相とトランプ米大統領が初めて会談する方向で最終調整に入ったと報じられており、政治動向にも注目です。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)