【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 44,882.13  △168.61 (1/30)
NASDAQ: 19,681.75  △49.43 (1/30)

1.概況

昨日の米国市場では、一部の主力株の好決算による買いが指数を押し上げ、主要3指数は揃って反発となりました。ダウ平均は164ドル安で取引を開始するもすぐに上昇に転じ、その後は上げ幅を広げていく展開となりました。

取引終盤には一時295ドル高まで上げ幅を広げ、昨年12月に付けた最高値(45,014ドル)に迫る場面も見られましたが、トランプ米大統領がカナダとメキシコに対して25%の関税を課す考えを改めて示したことが報じられると、急速に伸び悩み、結局ダウ平均は168ドル高の44,882ドルで取引を終えました。

また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は、49ポイント高の19,681ポイントで取引を終え、S&P500株価指数は31ポイント高の6,071ポイントで取引を終えました。

2.経済指標等

2024年第4四半期の実質国内総生産(GDP)の速報値は年率換算で前期比2.3%増となり、市場予想を下回りました。一方、個人消費は4.2%増となり、市場予想を大きく上回っています。また、PCEコアデフレータは2.5%上昇で市場予想と一致しました。先週一週間の米新規失業保険申請件数は前週比1万6000件減の20万7000件となり、市場予想に反して改善となりました。

3.業種別動向

S&P500の業種別株価指数では、全11業種のうち10業種が上昇となりました。特に公益事業が2%以上上昇し、不動産やヘルスケア、資本財・サービス、コミュニケーション・サービス、生活必需品、素材が1%以上上昇しました。一方で、情報技術が小幅に下落しています。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄では、30銘柄中銘柄が23銘柄上昇しました。特に、市場予想を上回る好決算を公表したアイビーエム[IBM]が13%近く上昇しました。また、ボーイング[BA]は3%以上上昇し、ナイキ[NKE]とビザ[V]は2%以上上昇しました。一方で、7銘柄が下落し、なかでも決算にてクラウド事業の成長鈍化が嫌気されたマイクロソフト[MSFT]が6%以上下落しました。また、キャタピラー[CAT]が4%以上下落し、セールスフォース[CRM]が3%近く下落、ベライゾン・コミュニケーションズ[VZ]が2%以上下落、アマゾン・ドットコム[AMZN]が1%以上下落しました。

ダウ平均構成銘柄以外では、テスラ[TSLA]が、売上高とEPS(1株当たり純利益)が市場予想に届かない冴えない決算を公表したものの、イーロン・マスクCEO(最高経営責任者)がロボタクシーの実現が5ヶ月後に実現する予定であることなど同社の明るい見通しを発表したことで、株価は2.9%上昇しました。また、メタ・プラットフォームズ[META]は、第4四半期決算にて、市場予想を上回る売上高、EPSを達成したほか、ザッカーバーグCEOが決算説明会で同社のAI開発に対し自信を示したことを受け、1.6%上昇しました。一方で、サービスナウ[NOW]は、第4四半期決算にて、ガイダンスの見通しが市場予想の水準に満たず、11.4%下落の大幅安となりました。

5.為替・金利等

米長期金利は前日から0.02%低い4.51%となりました。ドル円は、円高方向に進展し、154円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は、昨日の米国市場が反発した流れを引継ぎ上昇してのスタートが期待されます。また、個別の材料としては、「ChatGPT」を手がけるオープンAIは、評価額3400億ドル(約52兆円)での資金調達を目指し、最大400億ドルを調達する方向で初期交渉に入ったと報じられており、半導体など関連銘柄の物色が注目されます。

また、昨日は、中外製薬(4519)やオリエンタルランド(4661)、武田薬品工業(4502)など多くの銘柄が決算を公表しており、決算結果を受けた個別の動きにも注目です。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)