一時4万円台を回復するも悪材料が出て反落

前回のコラムでは、200日移動平均線で下げ止まったあと反発に転じ、下向きの25日移動平均線に接近して終えたところまでの値動きでした。その後上向きに変化した5日移動平均線がサポートになると、1月23日から1月27日までの取引時間中に4万円台を回復する場面がありました。

ただ1月27日は、中国のDeepSeekが開発した生成AIが半導体分野での米国の優位を揺るがすのではないかといった見方が広がり、取引開始後に半導体関連株主導で売られ、マイナスに沈んで取引を終えています。

また、翌営業日も下落が続き、5日と25日移動平均線を下回って取引を終えています。こうして見ると、いわゆる「DeepSeekショック」による反落でトレンドが崩れたのではないかという見解も広がるかと思われますが、はたしてそうなのでしょうか。

そこで注目されるのが移動平均線の向きです。これまでもトレンドを分析する際、株価の位置と移動平均線の向きについて解説してきましたが、表示されている移動平均線(5日、25日、75日)のうち、5日と25日移動平均線は緩やかな下向きに変化しているものの、75日移動平均線は上向きを続けており、トレンドが崩れるのを辛うじて踏みとどまっている状況と言えそうです。

そのため、75日移動平均線上を維持して75日移動平均線が上向きを続けることができるかが注目ポイントになると思われます。

仮に75日移動平均線上を回復して維持するとともに、反発に転じて25日移動平均線上を回復して維持するようなら、再び4万円台を回復することが視野に入ります。その反面、75日移動平均線を下回ったままで推移するようなら、いずれ75日移動平均線も下向きに変化して下降トレンド入りすることが考えられるため、警戒が必要になるでしょう。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※移動平均線は5日、25日、75日を表示

0ライン上を維持するモメンタムが意味するものは…

そうしたなか、上昇と下落の勢いを教えてくれるモメンタムを見ると、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が、上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ラインを上回って上昇を続けているのが分かります。

こうした状況から、3日続落となった日経平均ですが、上昇の勢いが続いていると考えられ、反発する可能性が残っていると見ることができそうです。そのため、今週はモメンタムとシグナルが上昇を続けるかどうかが注目ポイントです。

仮に2本線が上昇を続けて、過去の高い水準を上回って推移するようなら、75日移動平均線上を維持して25日移動平均線を上回る可能性が高まります。その反面、2本線が低下して0ラインを割り込むとともに、低下が継続するようなら、75日移動平均線を割り込み、いずれ75日移動平均線も下向きに変化することが考えられます。もち合いが崩れた場合は売りそびれることがないよう注意したいところです。