【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 44,713.58 △289.33 (1/27)
NASDAQ: 19,341.83 ▼612.47 (1/27)
1.概況
昨日の米国市場は高安まちまちとなりました。中国のAI企業「DeepSeek(ディープシーク)」が低コストで高性能な生成AIモデルを開発したことを受け、米国のAI産業の脅威になるとの懸念が広がり、半導体関連銘柄やAI関連銘柄の売りが広がりました。一方で、ディフェンシブ株や消費関連財の一角には買いが入り、相場を支えました。
ダウ平均は275ドル安で取引を開始するも、すぐに上昇に転じました。その後も長期金利の低下などを支えに堅調な推移となると、結局289ドル高の44,713ドルで取引を終え、反発となりました。
一方で、エヌビディア[NVDA]が17%安と大幅下落したほか、その他の半導体関連銘柄やテック銘柄も下落が目立ち、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は、612ポイント(3.1%)安の19,341ポイントで取引を終え、大幅に続落となりました。また、S&P500株価指数も88ポイント(1.5%)安の6,012ポイントで取引を終え、続落しています。
2.経済指標等
12月の米新築住宅販売件数は年率換算で前月比3.6%増の69.8万戸となり、市場予想を上回りました。
3.業種別動向
S&P500の業種別株価指数では、全11業種のうち6業種が上昇となりました。特に生活必需品とヘルスケアが2%以上上昇し、金融と不動産が1%以上上昇しました。一方で、5業種が下落となり、なかでも情報技術が5%以上の大幅下落となったほか、公益事業は2%以上の下落、資本財・サービスは1%以上の下落となりました。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄では、30銘柄中銘柄が22銘柄上昇しました。特に、ジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]が4%以上上昇したほか、セールスフォース[CRM]やトラベラーズ・カンパニーズ[TRV]、プロクター・アンド・ギャンブル[PG]、アップル[AAPL]、コカコーラ[KO]は3%以上上昇しました。一方で、8銘柄が下落し、エヌビディア[NVDA]が17%安と大幅下落したほか、シスコシステムズ[CSCO]は5%以上、キャタピラー[CAT]は3%以上、マイクロソフト[MSFT]は2%以上、アメリカン・エキスプレス[AXP]は1%以上下落しました。
ダウ平均構成銘柄以外では、エーティー・アンド・ティー[T]が、四半期決算にて市場予想を上回る売上高とEPS(1株当たり純利益)を達成し、6.3%上昇しました。一方で、上述のディープシークが開発した生成AIモデルが、米国AI産業への脅威になるとの懸念から、AI関連銘柄や半導体関連銘柄の大幅下落が目立ちました。ブロードコム[AVGO]が17.4%安となったほか、アーム・ホールディングス[ARM]は10.2%安、パランティア・テクノロジーズ[PLTR]は4.5%安となりました。
5.為替・金利等
米長期金利は前日比0.09%低い4.53%となりました。ドル円は、円高方向に進展し、154円台半ばで推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
昨日の米国市場は中国のAI企業ディープシークが開発した生成AIモデルが米国のAI産業への脅威になるとの懸念から、半導体関連銘柄などのハイテク株が大幅下落となりました。この流れを受け、日本市場では続落してのスタートが予想されます。こうしたなか、日経平均は心理的節目の3万9000円を維持できるかどうかが注目です。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)