今朝は「ホンダと日産自動車が経営統合協議入り」というニュースで覚醒した投資家も多かったのではと思います。まだ本当に実現するか不透明ですが、報道を受けた日産自動車の前場引け値は、値幅制限ギリギリの24%上昇となっています。

統合協議の背景として、EVや自動運転といった技術への投資のため、また世界的な競争激化を背景にスケールメリット追求などが挙げられています。一部の報道では、海外企業からの買収防衛もあったとされています。

こうした状況に陥っている企業は、本件だけに留まらないと思われます。技術革新は殆どの業界の共通課題ですし、円安の長期化等で割安になっている点も日本企業全般の悩み。日本は今や最優先の買収先ともいわれています。あふれるマネーの行先として、新興国では規模が小さく、場所によっては政情が不安定です。主要先進国では、米国は既に価格が高い一方、欧州は低成長で経済の先行きが不透明なので、消去法で日本、ということのようです。

では、今後どのような業界・企業に注目するべきでしょう。

第一に、グローバル競争からの脅威が大きい業界です。研究開発費や設備投資が嵩む業界や多数の企業でシェアを分け合っているような業界は、特に再編の必然性が高いでしょう。

第二に、日産自動車や2000年代初頭の銀行業界のように、財務的なストレスがかかっている場合。今後の金利上昇による調達コスト増大懸念が統合を促す要因となりうるでしょう。

第三に、PBRが1倍を大きく割っており、かつ、資産売却等の事業改革でROEを引き上げられる可能性がある企業等です。PBR改革も来年度は3年目となり、掛け声だけでなく、実効性のある収益向上策が求められるフェーズに入ります。この点では、逆に、「攻め」の買収を計画する企業も増えるでしょう。上場企業ではありませんが、先細る日本市場以外への多様化を図る日本生命の海外大型生保買収などもその例です。

来年は、こうしたダイナミックな動きが加速する可能性が高いと思います。米国市場の成長性に目が奪われがちですが、今後注目すべきは日本企業かもしれません。