【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 44,642.52  ▼123.19 (12/6)
NASDAQ: 19,859.77  △159.05 (12/6)

1.概況

先週末の米国市場は高安まちまちとなりました。寄付き前に公表された経済指標では、11月の米雇用統計において、非農業部門雇用者数が市場予想を上回る大幅増となり、前月分も上方修正されたほか、平均時給も前月比0.4%上昇と市場予想を上回りました。

一方で、失業率が4.2%に上昇したことなどを受け、12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げ観測が高まる中、ダウ平均は58ドル高で取引を開始しました。

ダウ平均はその後一時158ドル高まで上げ幅を拡大するも、悪材料の出た個別銘柄やエネルギー株などが足を引っ張り下落に転じ、軟調な推移となりました。ただし、各種経済指標から米経済の底堅さが意識されるなか、長期金利の低下を背景としたハイテク株の上昇が投資家心理を支え下値は堅く、結局ダウ平均は123ドル安の44,642ドルで取引を終え、小幅に続落となりました。

一方で、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は159ポイント高の19,859ポイントで取引を終え、史上最高値を更新しました。また、S&P500株価指数も15ポイント高の6,090ポイントで取引を終え、小幅高ながら史上最高値更新となりました。

2.経済指標等

11月の米雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比22万7000人増となり、20万人増程度を見込んだ市場予想を上回りました。また、9月の雇用者数が22万3000人から25万5000人に、10月が1万2000人から3万6000人にそれぞれ上方修正されました。失業率は4.2%と前市場予想と一致し前月から0.1ポイント上昇しました。平均時給は前月比0.4%上昇し市場予想を上回りました。一方、12月の米ミシガン大学消費者信頼感指数の速報値は74.0となり市場予想の73.2を上回って前月の71.8から上昇となりました。

3.業種別動向

S&P500の業種別株価指数では、全11業種のうち4業種が上げ、なかでも一般消費財・サービスが2%超上昇したほか、コミュニケーション・サービスが1%超上昇となりました。一方で、7業種が下げ、エネルギーと公益事業が1%超下落したほか、ヘルスケアや生活必需品、素材などが1%未満の下落となりました。

4.個別銘柄動向

米国市場では、ダウ平均構成銘柄は30銘柄中14銘柄が上昇となり、なかでも、アマゾン・ドットコム[AMZN]が3%近く上昇したほか、アイビーエム[IBM]やアメリカン・エキスプレス[AXP]、ホームデポ[HD]が1%超上昇しました。

一方で、16銘柄が下落となり、なかでもユナイテッドヘルス・グループ[UNH]が5%超下落となりました。同社は、幹部の銃殺事件を受けて経営の先行き不透明感が強まり続落となっています。そのほか、シェブロン[CVX]が2%超下落、エヌビディア[NVDA]、ボーイング[BA]、プロクター・アンド・ギャンブル[PG]が1%超下落しました。

ダウ平均構成銘柄以外では、テスラ[TSLA]が5.3%高、パランティア・テクノロジーズ[PLTR]は6.2%高となりました。テスラは目標株価の引き上げが伝わっているほか、パランティア・テクノロジーズは、国防技術プロバイダーのブーズ・アレン・ハミルトン[BAH]との提携を発表したことが材料視されています。

その他、決算を発表した銘柄で、電子署名のドキュサイン[DOCU]が27.9%高、アパレルのルルレモン・アスレティカ[LULU]が15.9%高、ITのヒューレット・パッカード・エンタープライズ[HPE]が10.6%高、化粧品小売のアルタ[ULTA]が9.0%高となりました。

一方で、医療機器メーカーのクーパー[COO]は四半期決算にて、予想を下回る売上高とガイダンスを発表したことで、4.4%下落しました。

5.為替・金利等

長期金利は0.02%低い4.15%となりました。ドル円は、150円近辺で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は、先週末の米国ハイテク株高を受けた上昇が期待されますが、11日に米CPI(消費者物価指数)の発表が予定されているほか、翌週にはFOMCと日銀政策決定会合が控えており、重要イベントを前に神経質な展開となりそうです。こうしたなか日経平均は、先週末に心理的節目の39,000円を上回って取引を終え、投資家心理が強気に傾きつつあるなか、重要イベントの通過前に39,000円以上で値固めできるかが注目されます。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)