東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は、小幅に反発となりました。ボラティリティの高い1週間となりましたが、週末を前に持ち高調整の動きがみられ、また決算が振るわなかった銘柄の売りが目立ち、節目の40,000円を前に上値が重い1日となりました。

FRB(米連邦準備制度理事会)は0.25%の追加利下げを決定し、米国市場ではハイテク株高となりました。それを支えに、前場は前日比402円高の39,783円で寄り付いた日経平均は、その後は段々と上げ幅を縮小する展開となり、133円高の39,515円で引けました。

後場に入ると、ドル円相場が前日に比べ円高に推移したこともあって輸出関連株に下げが目立つ中で、日経平均も一時下げに転じる場面も見られました。14時過ぎからは復調し、最終的には118円高の39,500円で取引を終えました。

新興市場では、東証グロース250指数が3日続伸、0.7%高となりました。

2.個別銘柄等

決算発表で、従来予想から業績を下方修正する銘柄の売りが目立ちました。日産自動車(7201)は前日比、一時41.5円(10.1%)安の368.5円をつけ年初来安値を更新する場面が見られました。通期の営業利益が5,000億円から1,500億円と前期比では73.6%減となる大幅な下方修正を発表し、失望売りを呼びました。

太陽誘電(6976)は前日比、一時499.5円(18.0%)安の2,281円をつけ、年初来安値を更新、4日ぶり大幅反落となりました。7日の中間決算において、通期の当期純利益がゼロとなる見込みを発表したことが売りを呼びました。従来予想では110億円を見込んでいたところ、中国系スマートフォン等の需要低迷が下方修正につながりました。

資生堂(4911)は前日比、一時319.5円(10.0%)安の2,862.5円をつけ年初来安値を更新、大幅反落となりました。通期の当期純利益は前期比72.4%減の60億円と前四半期に発表していた220億円から大幅に下方修正したことが嫌気されました。免税店での売り上げ低迷が下方修正に影響したとされています。

リクルート(6098)が前日比、一時481円(5.0%)高の10,030円をつけ、2017年7月分割後初の1万円台をつけ3日続伸となりました。7日まで開催されていた米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利下げの決定が、労働需給の改善を促すとし、同社が運営する米「indeed」の業績期待が高まったことから買いが集まりました。

味の素(2802)は前日比、一時648円(11.0%)高の6,539円をつけ、上場来高値を更新、3日続伸となりました。7日の中間決算にて、通期の事業利益を20億円上方修正、また発行済み株式総数の1.98%にあたる400億円の自社株買いを発表したことが買い材料となりました。

日本製鋼所(5631)は前日比501円(8.9%)高の6,102円をつけ、年初来高値を更新、3日続伸となりました。取引時間中に中間決算を発表する中で、通期の業績の上方修正と従来から2円増額となる76円の年間配当となる見込みを発表したことが好感され大幅高となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は、通期業績の下方修正を発表した銘柄の売りが目立ち、またトランプ次期大統領の政策や発言等、新たなアップデートを待つ中で、様子見ムードが広がり上値の重い1日となりました。

来週にむけて、まず大引け後にソニー(6758)の決算があり、家庭用ゲーム機「プレイステーション5」の販売動向やスマートフォン向け画像センサーの需要動向に注目が集まります。第2四半期の累積営業利益は6,145億円が市場コンセンサスとなっており、こちらの水準を達成できるかが1つの鍵でしょう。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)