11月前半までに一巡した円安=過去2年

米ドル/円の高値は、2023年は11月13日(月)、そして2022年は10月21日(金)で、ともに151.9円だった。このように過去2年連続で、11月前半までに米ドル/円の上昇は一巡すると、年末にかけて、2023年は140円まで、2022年は130円までと比較的大きく反落した(図表1参照)。これは、投機筋の円売り戦略の影響が大きかったと考えられた。

【図表1】米ドル/円と日米10年債利回り差(2022年1月~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

ヘッジファンドの取引を反映しているCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、売り越し(米ドル買い越し)拡大が2023年は11月中旬、そして2022年は10月末で一巡し、年末にかけて比較的大きく縮小に向かった(図表2参照)。これは、投機筋が積極的に展開した円売り戦略を11月前半までに一段落させて、年末にかけて米ドル買い・円売りポジションの手仕舞いを本格化させた動きと考えられた。そうした投機筋の動向が、過去2年の11月から年末にかけての米ドル/円の展開に大きく影響したのではないだろうか。

【図表2】CFTC統計の投機筋の円ポジション(2022年1月~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

投機筋が11月でポジション拡大に目途をつけて、年末にかけては損益を確定させるべくポジションの手仕舞いに動くのは過去2年に限らず、基本的には例年見られる傾向だ。その上で過去2年の場合は、米ドル高・円安が大きく進み、投機筋の米ドル買い・円売りポジションも大きく拡大したことから、投機筋のポジション動向が米ドル/円相場の変動にも大きく影響した可能性があった。

これに対して2024年は、9月にかけて米ドル/円が暴落したこともあり、足下の投機筋のポジションは、過去2年のように大きく米ドル買い・円売りに傾斜しているわけではない。その意味では、米ドル買い・円売りポジションを拡大する余地はまだまだありそうだ。

ただし、米ドル/円の水準は、最近にかけて過去2年のピークだった151円を上回ってきた一方で、足下の日米金利差米ドル優位は、逆に過去2年のピークを大きく下回っている。米ドルの割高リスクと金利差を総合的に考えると、米ドル買い・円売り戦略が過去2年より長引く、つまり11月後半にかけて続くかどうかも不透明ではないか。以上のように考えると、投機円売り戦略は、やはり過去2年と同様に11月前半にかけての局面が最後の山場という位置付けになる可能性がある。