「ウエッジ型(くさび型)」の持ち合いは注意が必要

前回のコラムでは、200日移動平均線上を維持できるかどうかが需要なカギを握ると解説しましたが、10月2日の取引時間中に200日移動平均線を割り込む場面がありました。しかし、その後は反発に転じるとともに、75日や5日移動平均線も上回っているのが分かります。

また、前回まで下向きだった5日移動平均線が上向きに変化しており、株価のサポートになることが期待されます。ただ、39,000円台を回復すると売り物に押されて39,000円を割り込むといった上値の重たさもあり、今後の値動きが注目されるところです。

そうした中、少し特徴的なフォーメーションを形成しています。フォーメーションを判断するために重要なポイントは、トレンドラインを正確に引くことです。そこで過去最大の下げ幅を記録した8月5日の終値を起点として9月11日の終値を結んで延長すると、安値が切り上がっているサポートラインが出来上がります。

続いて、8月11日の終値と9月27日の終値を結んで延長した線を引いてみると、上値を押さえているレジスタンスラインが出来上がります。この2本の線で囲まれたところがもち合い部分になります。

このもち合いですが、安値が切り上がるとともに高値も切り上がっており、こうしたもち合いを「ウエッジ型(くさび型)」と呼んでいます。また、この形のもち合いは、サポートラインを割り込むと、サポートラインの起点となっている8月5日の安値に接近することが考えられるため注意が必要です。

サポートラインとすべての移動平均線を割り込んで戻せなくなったときは、値幅を伴う下落に警戒が必要になると覚えておきたいところです。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※ 移動平均線は5日、75日、200日を表示

株価水準が切り上がっても勢いが出ない日経平均

また、上昇と下落の勢いを教えてくれるモメンタムはどうでしょうか。株価水準は切り上がっているもののモメンタムとその移動平均線であるシグナルが下向きで、なかなか上昇してきません。

このように株価水準が切り上がっているにもかかわらず、2本線が上昇しないのは、それだけ上昇の勢いが乏しいことを示していると考えられます。フォーメーション分析に示されているような、急落に対する警戒が必要な状態が続いていると考えておくほうがよいかもしれません。

では、どうなればウエッジ型のフォーメーションが打ち消されるのでしょうか。それは、レジスタンスラインを突破して維持することです。そうなれば、もち合いを上放れたことになるため、上昇トレンドの発生が期待されることになります。

また、そうなれば7月11日につけた高値に接近したり、上回ったりすることが視野に入るため、フォーメーションとモメンタムを合わせて確認し、売買判断の参考にしてください。