人間の心理が介在する相場ではよくあること

この下落局面で株を投げることは避けたいところです。日経平均の8月の戻り一服からの下げは当然の動き。円高だの、米景気懸念だの、米国のCPI控えなど、下げているから弱気材料を当てはめてしまう。懸念材料はいくらでもあるのです。38,000~39,000円水準で上値が重くなり、押し戻される動きは過去の値動きを振り返れば、人間の心理が介在する相場ものでは一般的な動きといえます。そして、35,000円台で下げ渋るのも、人間の心理が介在する相場ものでは普通の動きと考えることが可能です。

米雇用統計の発表の日に米国株が大幅安、日経平均先物は日中終値比1,210円安となりました。週明けの東京市場では、8月5日の再来か?という見方も聞かれましたが、そんなに相場は甘くない。経験上で推測できる、経験則というものがあります。

8月5日の日経平均は史上最大の下落幅となりましたが、翌日6日は史上最大の上昇幅となりました。買い場探しで重要なのは、8月5日の4,451円安を振り返ることではなく、6日の戻りを考慮することです。要するに、下に「往ってこい」となった始点と終点の水準を考えるのです。始点は5日の日経平均の始値35,249円、終点は6日終値34,675円、この2つの値を足して2で割ると34,962円です。ということは、概ね35,000円水準より下は売っても儲からない、ということです。その経験測が今週の日経平均の落ち着きどころを考える上で重要であり、実際、9月9日安値が35,247円程度で収まった理由なのです。仮に、今週前半に35,000円を割り込む場面があっても、結局は押し目買いや売り方の買い戻しが優勢となり、リバウンド基調に入る展開を想定しておきたいところです。

個別株の動きは2通りに分けられる

だとしたら、ここからの個別株選びが重要です。今回、8月上旬の急落からの戻りの過程で、単純に個別株の動きは2通りに分かれます。その考え方はシンプルで、戻りの過程で7月高値※を超えたか、超えてないかです。

リバウンド相場が再開する場合、選ぶべき個別株は、8月上旬の急落からの戻りの過程で、7月高値を超えたものです。日経平均と同じように7月高値を超えられず、再び下げた個別株の方が一見すると値ごろ感があるように見えますが、そうではありません。

7月高値を超えていれば、今の日経平均の調整局面では、その7月高値付近まで押しを作っているはずです。言い換えると、7月高値を超えたことによる短期強気シグナルが発生した後の押し目の好機(初押し)になる可能性が高いからです。

一方、7月高値をまだ超えていなければ、それを上に眺めながら、戻り売りを考えるスタンスが優先されるからです。

※ここでは7月高値という表現をしていますが、8月急落直前の高値全般のことと考えてください。