メキシコペソ/円の反発余地と続落余地の考え方
メキシコペソ/円は、2020年の「コロナ・ショック」後の4円台から、2024年には9円を大きく超えるまで上昇、約4年間で倍以上に上昇した。ところが、最近にかけて一時7円割れ寸前まで急落し、最大下落率は25%にも達した(図表1参照)。米ドル/円も161円台から141円台へ、最大下落率は12%に達したが、それと比べるとメキシコペソ/円の下落の大きさが分かるだろう。
こうした中で、メキシコペソ/円は、足下で8.7円の52週MA(移動平均線)を大きく割り込んだ。これは、2020年から展開してきたメキシコペソ/円の上昇トレンドでは見られなかった現象だ(図表2参照)。高金利通貨のメキシコペソはボラティリティが高く、その意味ではいわゆる「ダマシ」が発生することもあるが、上昇トレンドで見られなかった現象が起こったという意味では、下落トレンドへ転換した可能性も注目されそうだ。
仮に、メキシコペソ/円が下落トレンドへ転換したなら、経験的にはそれと逆行する一時的な上昇は52週MAを大きく、長くは越えない程度にとどまり、一段の下落に向かう可能性が高いという見通しになる。ではその場合、メキシコペソ/円の下落リスクはどの辺りまで想定する必要があるだろうか。
メキシコペソ/円の5年MAかい離率は、一時はプラス40%以上に拡大した。これは、メキシコペソ/円がこれまでほとんど経験したことのない、その意味では「異常」と言えるような「上がり過ぎ」になっていた可能性を示していた。今回のメキシコペソ/円の急落で、一時プラス20%程度まで縮小したが、過去の実績で見ると、これでもまだ「上がり過ぎ」懸念の強い状況が続いている可能性がある(図表3参照)。
経験的には、メキシコペソ/円の「上がり過ぎ」が是正されるには、少なくとも5年MAを下回るまで下落することになる。足下の5年MAは6.5円なので、それに向かってメキシコペソ/円は続落リスクが残っている可能性に要注意ではないか。