リスクを回避する行動をとることが重要

3週間近く休載していましたが、前回のコラムで解説したトレンド転換のサインである「宵の明星」発生後、日経平均は暴落する結果となってしまいました。

特に注意点として挙げた5日移動平均線上を回復できなかったことに加え、5日移動平均線が上値の抵抗となったことから25日移動平均線を7月22日に下回りました。

また、7月27日に反発したことから一旦底入れしたかに見えましたが、下向きの75日移動平均線を突破して維持することができず、8月1日に75日移動平均線を下回って押し返されると、8月2日に窓をあけて大幅安となっているのが分かります。

さらに、今週8月5日にはリーマンショック時の下げ幅を上回る4,451円の下落となった一方で、8月6日は過去最大の上げ幅となる3,217円高で終えています。

こうした暴落に巻き込まれないようにするためには、トレンド転換のサインが発生していることを見逃さないようにすることに加え、前回のコラムで解説したように5日移動平均線を下回ったままの値動きが続いた場合にどうなるのかを想像し、予めリスクを回避する行動をとることが重要と言えます。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※ 移動平均線は5日、75日、200日を表示

モメンタムのピークアウトも的中

モメンタムについても同様のことが言えます。前回のコラムではモメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が、過去の高い水準に接近したものの届いておらず、解説した通りピークアウト後に低下する結果となりました。

また、上向きの25日移動平均線上で下げ止まった7月19日には、モメンタムとシグナルの両方が既に0ラインを下回っており、下落の勢いが強まっていたことも分かります。

さらに、25日移動平均線を下回ったまま横ばい状態が続く中でもモメンタムの低下が続くと、7月25日にはついに75日移動平均線も下回ってしまいました。

その後、7月31日に一旦75日移動平均線上を回復する場面がありましたが、モメンタムとシグナルの上昇は限定的で0ラインを下回ったままとなった後、暴落する結果となっています。

8月6日の大幅反発をどう捉えれば良いのか?

ただ、8月6日には過去最大の上げ幅となっており、この大幅な反発で今回の暴落が終わり、底入れに向かうと考えられるのでしょうか?答えは今のところノーです。

なぜなら、引き続き5日移動平均線の下で株価が推移していることに加え、モメンタムは急上昇しているもののシグナルは下向きのままとなっているからです。またモメンタムとシグナルの2本線は0ラインよりも下に位置しています。

こうした状況を踏まえ、今後の底入れについて考えた場合、モメンタムとシグナルが上昇して0ラインに接近したり、上回ったりすることが必要です。

さらに、5日移動平均線を上回って維持するとともに、5日移動平均線が上向きに変化するまでは下降トレンドが継続中と考えられ、底入れはまだ先になるのではないかと考えられます。

テクニカル分析のメリットは、どのような状況になった時でも客観的に判断することができることです。この利点を最大限活用し、売買判断に役立てるようにしたいところです。