【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 40,842.79  △99.46 (7/31)
NASDAQ: 17,599.40  △451.98 (7/31)

1.概況

米国市場はパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で9月利下げの可能性を示唆したことから上昇となりました。25ドル高でスタートしたダウ平均は直後にマイナスに転じましたが、87ドル安で下げ渋ると持ち直し昼過ぎには309ドル高まで上昇しました。その後FOMCの結果発表を前に一旦伸び悩みましたが、パウエルFRB議長の記者会見での発言を受けて一段高になると取引終盤には455ドル高まで上昇しました。しかし、引けにかけて急速に上げ幅を縮めると結局99ドル高の40,842ドルで取引を終え続伸となっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も451ポイント高の17,599ポイントと反発となりました。

2.経済指標等

米連邦準備制度理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を8会合連続で据え置くことを決めました。パウエルFRB議長は記者会見で、今後の物価や労働市場の動きによっては「早ければ9月に利下げする可能性がある」と述べています。また、7月のADP全米雇用リポートで民間部門雇用者数は12万2000人増に止まり市場予想を下回りました。4-6月期の米雇用コスト指数も前期比0.9%上昇に止まり市場予想を下回りました。一方で7月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)は45.3と前月から低下しましたが市場予想を上回りました。6月の米中古住宅仮契約指数も前月比4.8%上昇の74.3となり市場予想を上回っています。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち7業種が上げ、情報技術が4%近く上昇したほか、一般消費財・サービスとコミュニケーション・サービス、公益事業、資本財・サービス、素材も1%以上上げています。一方でヘルスケアや不動産などの4業種が下げています。

4.個別銘柄動向

半導体関連株の上昇が目立ちました。半導体株ではエヌビディア[NVDA]が13%近く上げたほか、ブロードコム[AVGO]も12%近く上昇しました。クアルコム[QCOM]も8%以上上げ、マイクロン・テクノロジー[MU]も7%余り上昇しています。市場予想を上回る決算を発表したアドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]も4%以上上げ、インテル[INTC]も2%高となっています。半導体製造装置株ではKLA[KLAC]が8%を上回る上昇となり、アプライド・マテリアルズ[AMAT]とラム・リサーチ[LRCX]も7%以上上げています。また、英半導体設計大手のアーム・ホールディングス[ARM]も8%を超える上昇となりましたが、取引終了後に発表した決算で7-9月期の利益見通しが市場予想を下回ったことなどから時間外取引で大きく下げています。さらに主力ハイテク株ではテスラ[TSLA]が4%以上上げ、アマゾン・ドット・コム[AMZN]も3%近く上昇しました。フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ[META]も2%以上上げています。

5.為替・金利等

長期金利はパウエルFRB議長が9月利下げの可能性を示唆したことで0.11%低い4.03%となりました。ドル円は日銀が追加利上げを決めたことに加え、米連邦公開市場委員会(FOMC)を受けて9月の利下げ観測が強まったことからさらに円高が進み149円台後半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は円高を受けて下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は節目の39,000円を割り込みそうで、ドル円の動向に神経質な展開となりそうです。また、本日は取引時間中の13時25分にトヨタ(7203)が決算を発表する予定で注目を集めそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)