東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は3日続伸となりました。385円安の38,140円で寄り付いた日経平均はまもなくして571円安の37,954円まで下落しましたが、朝方の売り一巡後に下げ渋ると持ち直し前引け5分前に106円安の38,419円まで戻し156円安の38,369円で前場を終えました。

114円安の38,411円でスタートした後場の日経平均は追加利上げを決めた日銀の金融政策決定会合の結果発表直後に403円安の38,122円まで下落しました。しかし、直ぐに切り返すとプラスに転じ14時50分過ぎに662円高の39,188円まで上昇し結局575円高の39,101円で取引を終えています。

こうしたなか新興市場も高く東証グロース市場250指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

日銀が追加利上げを決めたことで大手銀行株が買われました。三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が一時4.8%高、三井住友フィナンシャルグループ(8316)が一時5.0%高、みずほフィナンシャルグループ(8411)が一時5.5%高、三井住友トラスト・ホールディングス(8309)が一時4.5%高、りそなホールディングス(8308)も一時7.0%高となりました。

市場予想を上回る第1四半期決算を発表したTDK(6762)やマキタ(6586)も買われました。TDKはスマホ向け電池の販売が伸びたことに加え、円安の寄与もあり第1四半期の営業利益が前年同期比で2.2倍となり市場予想を上回ったことや、9月30日を基準日として1株を5株にする株式分割を発表したことから一時5.1%高となりました。

マキタも原材料価格や輸送コストの上昇が落ち着いたことにより採算が改善したほか、円安が利益を押し上げたこともあり第1四半期の営業利益が前年同期比で30.9%増となり市場予想を上回ったことから一時7.1%高となりました。

一方で村田製作所(6981)はスマホ部品の需要が回復したことや円安の効果もあり第1四半期の営業利益が前年同期比で32.5%増となりましたが、市場予想を下回ったことから一時7.6%安となりました。

オリエンタルランド(4661)も一時10.1%安となり年初来安値を更新しました。人件費や減価償却費などが増加したことなどにより第1四半期の営業利益が前年同期比で13.8%減となったことで大幅安となりました。

ANAホールディングス(9202)も整備費や人件費の増加が重荷となり第1四半期の営業利益が前年同期比で30.7%減となったことで一時4.2%安となり年初来安値を更新しています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は575円高となりました。米ハイテク株安や日銀による追加利上げ観測による円高を受けて朝方には570円以上下げる場面もありました。

しかし、節目の38,000円を小幅に割り込んだところで下げ渋ると持ち直し、追加利上げを決めた日銀の金融政策決定会合の結果を受けて材料出尽くしとなりプラスに転じました。米バイデン政権が対中半導体輸出規制で日本や韓国を除外すると伝わり値がさの半導体関連株が買われたこともあって上げ幅を大きく広げました。

節目の39,000円や75日移動平均線(39,025円)を上回って取引を終えたことから調整一巡との見方がさらに強まりそうで、一段高への期待も出てきそうです。

なお、決算発表が本格化しています。本日も引け後には日立(6501)やパナソニックホールディングス(6752)、アドバンテスト(6857)、JR東日本(9020)、日本航空(9201)などが決算を発表するほか、明日は取引時間中の13時25分にトヨタ(7203)が決算発表を予定しています。

また、日本時間の8月1日午前3時には米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が発表されます。8会合連続で政策金利を据え置く公算が大きいことからパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見に注目が集まりそうで、9月会合での利下げに向けた方針を明確に示すかどうかが注目されます。

さらに31日の米国ではボーイング[BA]やクアルコム[QCOM]、メタ・プラットフォームズ[META]などが決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)