SNSで著名人や投資家をかたって投資話を持ちかけてお金をだまし取る「SNS型投資詐欺」の被害が急増しています。あらゆるところで投資詐欺の注意喚起がなされていてもなお、被害は増え続け、中には多額を振り込んでしまう方も。新NISAが始まり、国民の「貯蓄から資産形成」が進む中で、由々しき問題です。金融業界も、警察も、政府も、最重要課題として取り組む問題と認識しています。

同調圧力に弱く、自己責任が根付いていないということが根本の課題のように思います。が、そんなことも言っていられない状況。できる対策をせねば。SNS型投資詐欺は、著名な人・成功した人の言うことなら信じられる、という心理/権威バイアスに付け込んでいる詐欺ですから、偽アカウント(詐欺アカウント)を徹底的に排除するというのが一つの方法ですが、全く進まず、多くの人が頭を抱えています。ちなみに、私も実名でX(旧Twitter)を利用していますが、数か月前、偽「清明祐子」を3体ほど発見しました。「清明祐子」で検索すると同じ顔が並びます。すぐに偽だと通報し、会社のみんなにも協力してもらって通報し、何度も通報していますが、今もいます。私はましな方で、偽「広木隆」はもっと存在します。本つぶやきメンバーの大槻さんや大橋さんの偽物もいーっぱい。

「モグラたたき」にすらなっていない偽アカウント。叩かれてもずっと頭を出しているモグラばかりで、どんどん増殖しています。そんな中、1か月ほど前に、「情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)」が公布されました。SNSプラットフォーマーに対して、誹謗中傷や詐欺の投稿やアカウントの削除申出への対応の迅速化と削除運用状況の透明化を義務化するというもの。この「情プラ法」の施行は投資詐欺の歯止めになるのでしょうか。実効性が問われますね。

しかし、何かが塞がれるとまた新たな手口が生まれるのが詐欺。やっぱり、モグラたたきです。詐欺にあわないように、適切な情報を適切に取得でき、自分で自分の資金を管理・運用するのが当たり前にできる世界を作らなくてはなりません。新たに設立された金融経済教育推進機構や証券会社等金融機関による情報提供の質がますます問われるわけですが、一上場企業の経営者としては、個人投資家へのわかりやすい情報開示や個人投資家との対話の充実に努めようと思う次第です。今週土曜日は、マネックスグループ第20回定時株主総会。丁寧に、わかりやすく、マネックスグループの今と今後をご説明するよう努めたいと思います。