東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は3日ぶりに反発となりました。132円安の38,587円で寄り付いた日経平均は9時50分に165円安の38,554円まで下落した後持ち直すと11時10分過ぎにプラスに転じましたが、21円高の38,741円で伸び悩むとマイナスとなり11円安の38,709円で前場を終えました。
日銀の金融政策決定会合の結果を受けて177円高の38,898円でスタートした後場の日経平均は13時過ぎに305円高の39,025円まで上昇した後伸び悩みましたが、引き続き堅調に推移すると94円高の38,814円で取引を終えています。
こうしたなか新興市場も高く東証グロース市場250指数が上昇となっています。
2.個別銘柄等
日銀が金融政策決定会合の結果を発表し、国債の買い入れ減額を慎重に進める姿勢を示したことで大手不動産株が買われました。三菱地所(8802)が一時5.2%高、三井不動産(8801)が一時3.0%高、住友不動産(8830)も一時5.4%高となりました。
バイデン米大統領がイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦交渉について近い将来の妥結はないとの見方を示したと伝わったことで大手海運株も買われました。日本郵船(9101)が一時3.7%高、商船三井(9104)が一時4.6%高、川崎汽船(9107)も一時5.0%高となりました。
ファンケル(4921)も21.2%上昇しストップ高となりました。3割の上乗せ幅(プレミアム)をつけた買い付け価格で、キリンホールディングス(2503)がファンケルを買収すると伝わったことから買いを集めました。
丹青社(9743)も一時13.9%高となり年初来高値を更新しました。オフィスやホテルなど商業関連の需要が好調だったことなどにより第1四半期の営業利益が前年同期比で87.2%増となったことから大幅高となりました。
また、目標株価の引き上げを受けて太平洋セメント(5233)や住友大阪セメント(5232)が高く、太平洋セメントが一時4.6%高となり年初来高値を更新したほか、住友大阪セメントも一時4.9%高となりました。
一方で鎌倉新書(6184)が一時18.0%下落しストップ安となり年初来安値を更新しました。第1四半期の営業利益は前年同期比で4.9%増となりましたが、通期予想に対する進捗率が12.6%にとどまったことで業績の下振れを警戒した売りが膨らみました。
人材サービスを展開するビジョナル(4194)も一時14.0%安となり年初来安値を更新しました。広告宣伝活動や投資計画の見直しで2024年7月期の営業利益の見通しを上方修正しましたが、主力の転職サイト「ビズリーチ」の売上高見通しを下方修正したことから大幅安となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は94円高となりました。昨日の米国市場でダウ平均が続落となった流れを受けて売りが先行し前場には160円以上下げる場面もありましたが、昼休み時間中に発表となった日銀の金融政策決定会合の結果を受けて後場に入って上げ幅を広げました。
日銀は金融政策決定会合で国債の買い入れを減額していく方針を決定しましたが、今後1-2年程度の具体的な減額計画は次回7月の決定会合で決めるとし、国債の買い入れ減額を慎重に進める姿勢を示しました。そのため一時は300円以上上げ節目の39,000円を回復する場面もありました。
しかし、39,000円を小幅に上回ったところでは伸び悩みました。したがって39,000円を超えたところでの上値の重さが改めて意識されそうで、来週も39,000円を超えて水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。
なお、本日は日本時間の21時30分に5月の米輸出入物価指数が発表されるほか、23時には6月の米ミシガン大学消費者態度指数速報値が発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)