昨日、新しい暗号資産ブリリアンクリプトトークン(BRIL)に、333億円の応募が集まったことが発表されました(コインチェック)。国内6件目のIEO(イニシャル・エクスチェンジ・オファリング、取引所上場)で、募集金額の約15億円に対する倍率は22倍程度。債券調達でいう大幅なオーバーサブ(需要超過)です。
受付初日の応募者に対し、抽選で10名に各10万円分のトークンを付与する等のキャンペーンで需要が刺激された可能性はありますが、それにしても、暗号資産市場が伸び悩んでいた中での募集としては大成功と言えるでしょう。
BRILは、ブロックチェーンゲームで使われるゲーミングコイン。人気の理由は、キャンペーンに加え、上場企業のコロプラがバックにある安心感や、Proof of Gamingというユニークなコンセプトを掲げたことなどがあったようです。コロプラは、先週、フランスのブロックチェーン開発・運営会社CBIと資本業務提携を発表、同社を通じてこのゲームの世界展開を目指すと発表しています。
IEOの審査期間は概ね1年程度とされ、上場後も、24時間365日取引ができます。IPOまで数年かかり、その後の取引は1日5時間、という日本の株式市場よりはかなり柔軟です。また、昨年から今年度にかけての税制改正で、発行体にとってIEOの使い勝手が良くなりました。今後は、更に特徴のある案件も出て来るでしょう。例えば、ゴージャスなホテルのシェアリング・システム「NOT A HOTEL」も、2022年のNFTの発行に加え、IEOを検討すると発表しています。リアルワールド資産との連携事例として非常に興味深いところです。
日本では、非上場企業やプロジェクトの資金調達の市場が未成熟です。クラウドファンディングもありますが、調達額上限やセカンダリー取引などに課題があります。IEOにも、上場後の価格変動が激しい等まだまだ問題もありますが、様々な事例が積み重なることで新しい調達市場が確立することを期待します。