東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は大幅続伸となりました。247円高の38,734円で寄り付いた日経平均は取引開始から30分余りで544円高の39,032円まで上昇しましたが、節目の39,000円を小幅に上回ったところで伸び悩むと361円高の38,849円で前場を終えました。
344円高の38,832円でスタートした後場の日経平均は14時20分過ぎに499円高の38,987円まで上昇した後伸び悩みましたが、引き続き38,900円を上回って推移すると結局435円高の38,923円で取引を終えています。
一方で新興市場は安く東証グロース市場250指数が下落となっています。
2.個別銘柄等
シャープ(6753)が一時8.0%高となりました。システム受託開発のデータセクション(3905)がシャープ、KDDI(9433)と人工知能(AI)データセンター構築に向けて協議を始めると発表したことを好感した買いが入りました。
KDDIは0.4%高と小幅な上昇に止まりましたが、東証グロース市場ではデータセクションが25.3%上昇しストップ高となっています。
低温物流を手掛けるC&Fロジホールディングス(9099)も一時14.5%上昇しストップ高となりました。佐川急便を傘下に持つSGホールディングス(9143)がC&Fロジホールディングスに1株5,740円でTOB(株式公開買い付け)を始めると発表したことでTOB価格にさや寄せする格好で上げ幅を広げました。
帝人(3401)も一時4.3%高となりました。電子漫画配信サイト「めちゃコミック」を手がけるインフォコム(4348)を米投資ファンドのブラックストーンが買収することで合意し、インフォコム株を55%保有する帝人が全株式を売却すると伝わったことで買いが優勢となりました。
また、目標株価の引き上げを受けてメルカリ(4385)や三菱倉庫(9301)が高く、メルカリが一時12.8%高となったほか、三菱倉庫も一時3.0%高となりました。
さらに東証スタンダード市場では広告制作の東北新社(2329)が一時8.8%高となりました。1株を3株とする株式分割を発表したことで投資家層の拡大を期待した買いが入りました。
一方で半導体用化学薬品のトリケミカル研究所(4369)が一時11.4%安となりました。国内や台湾向けのメモリー用材料などの需要が落ち込んだことなどにより第1四半期の営業利益が前年同期比で24%減となったことから大幅安となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は435円高となりました。4月の米個人消費支出(PCE)物価指数がおおむね市場の想定に沿った内容となったことでインフレへの懸念が和らぎ先週末の米国市場でダウ平均が570ドルを超す上昇となったことから買いが優勢となりました。
一時は540円以上上げ節目の39,000円を回復する場面もありましたが、39,000円を小幅に上回ったところで伸び悩むと75日移動平均線(38,968円)を小幅に下回って取引を終えました。そのため75日移動平均線が上値抵抗線として意識されそうです。
なお、日本時間の23時には5月の米ISM製造業景況感指数が発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)