先週の中国株は大型株主体の上海総合指数は小幅反発となりましたが、中小型株主体の深セン総合指数と創業版指数は週末にかけて弱くなり、小幅反落となりました。週初は先週お伝えした上海自由貿易区設立計画を材料に関連銘柄が上昇。さらに国家統計局の報道官が地方政府の財務問題は管理可能とコメントしたことや、中国当局の高官が中国政府の目標としている2013年のGDP成長目標である7.5%成長の達成は可能としたコメントが報道されたことなどから、中国経済に対する強気な見方が強まったことも支援材料でした。
しかし、28日に米国のシリアへの軍事介入懸念が出て世界的にリスク回避志向が高まると、それまで強い推移をしていた中小型株が利食い売りに押される形で大きく下落。その後も中小型株は週末まで割高感を懸念した利食い売りが続き、8月30日(金)の創業版指数は3.4%安の大幅安となっています。これに加え、9月初めに発表されるPMIの発表を控えて様子見の雰囲気も拡がり、売買代金が膨らまないままで週を終えました。
香港株も週後半にかけて軟調でした。シリアへの軍事介入懸念はもちろんですが、中国石油最大手の中国石油(00857)の幹部が規律違反を犯した罪で当局から取り調べを受けているとの報道がクローズアップされて市場の雰囲気を悪化させました。反面、香港株でも買われたのは上海自由貿易区設立計画絡みで港湾関連株です。上海以外の都市でも貿易特区の設立があるのではないかとの思惑から買われています。その他では中国で贅沢品に新たな課税が計画されているとの報道から、中国本土から香港への買い物客が増加するとの思惑が出て、香港の宝飾品企業が買われています。今週はPMIの結果が材料視されるほか、引き続き上海自由貿易特区関連銘柄が物色されるのではないかと思われます。さらに言えば、来週発表される貿易統計や鉱工業生産などの経済指標が中期的な相場の方向性を決めることになると思われます。もしも予想よりも強気の数字が出てくれば、中国経済に対する強気な見方が高まり、さらに株価は上を目指せると思います。
コラム執筆:戸松信博