◆前回の小欄ではプロ野球の日本シリーズが熱いと書いたけど、海の向こう本場アメリカのワールドシリーズも大変な盛り上がりを見せた。第7戦の延長10回の死闘を制し、カブスが108年ぶりにワールドシリーズ・チャンピオンの栄冠に輝いた。このニュースが報じられるときは決まって、「山羊の呪いが解けた」との文句がセットで伝えられる。

◆1945年のワールドシリーズをタイガーズと争っていたとき、ファンがペットの山羊を球場に連れて入ろうとしたのを止められて激怒し、「ヤギの入場が許されるまで、カブスは2度とワールドシリーズに勝てない」と放言した。この言葉の通り、カブスはそれ以降長期低迷を抜け出せなかった。これが「ビリー・ゴート(山羊)の呪い」である。

◆マーケットの立場からもカブスの勝利を祝いたい。ナショナルリーグのチームがワールドシリーズを制すると、大統領選挙では民主党が勝利、アメリカンリーグでは共和党が勝つというジンクスがあるからだ。カブス=ナショナルリーグ=民主党=ヒラリー・クリントンだから、このジンクス通りいけば、「トランプ大統領誕生⇒市場の大混乱」というシナリオは避けられるのだが...。米国の大統領選挙はいよいよ明日である。

◆マーケットはすでにトランプ・リスクを警戒し、米国の株価指標S&P500は9営業日連続の下落。9日続落は1980年以来36年ぶりのことだが、そんなのはたいした記録ではない。カブスは107年間のブランクに終止符を打ちワールドシリーズを制覇した。S&P500の連続安も早晩終止符が打たれることを期待したい。それにしてもナ・リーグ=民主党、ア・リーグ=共和党のジンクスは効くだろうか。なにしろ「山羊の呪いが解けた」ということはジンクスが破られた、ということではないか。そう考えると素直にカブスの優勝を喜んでいいのやら...複雑な心境である。