2024年5月20日(月)13:30発表
日本 2024年3月の第3次産業活動指数

【1】結果:第3次産業活動指数は、市場予想を大きく下回る

指数 100.2
前月比 -2.4%(-0.1%)
(カッコ内はBloomberg集計による市場予想の中央値)

サービスの動向を示す、第3次産業活動指数2024年3月の結果は、市場予想を大きく下回る前月比マイナス2.4%となりました。指数値では100.2ポイントと、前回比マイナス2.5ポイント(前回:102.7)下落しています。3月のデータでは、「運輸業、郵便業」を中心に11業種中、8業種で前月比低下となっています。サービスの基調判断は、前回から下方修正され、「一進一退」と引き下げられました。

【図表1】第3次産業活動指数(2015年=100、季節調整済)
出所:Bloombergよりマネックス証券作成
【図表2】業種別寄与度の推移―第3次産業活動指数前月比(2015年=100、季節調整済)
出所:Bloombergよりマネックス証券作成

【2】内容・注目点:サービス活動は一進一退、賃上げがプラスに働くかに注目

3月の結果では、「運輸業・郵便業(図表2、運輸輸送)」が寄与度にしてマイナス1.36%ポイントと大きくマイナス寄与となったことが今回の主因です。2月が大きく上昇していたため、その反動でサービス活動が縮小したと考えられます。市場予想比でマイナス2.3%ポイントと大きく下回ったことは、サービス活動が想定以上に縮小していることが懸念されます。指数を均した移動平均でみると(図表1)、基調判断で言及された一進一退の様相で、サービス活動が再び持ち直していくかどうかがカギとなりそうです。

【図表3】個人サービス指数の内訳(指数、2015年=100、季節調整済)
出所:Bloombergよりマネックス証券作成

注目点は、対個人サービスの広義し好的個人サービス(サービス利用にあたって、選択性・嗜好性が強いサービス)で、現状では、コロナ禍以前の水準を下回って推移しています。今後、直近の賃上げを受け、サービス消費の活性化によって同指標が上向きのトレンドとなるかに注目したいと思います。

【3】所感:サービス活動の縮小とCPIサービスに注視

物価の基調を判断する材料として、サービス価格の動向が注目されています。消費者物価指数のサービス指数と今回の第3次産業活動指数を比べると、コロナ以降の価格転嫁の流れもあって、同様のトレンドであることが見て取れます。しかしながら、足元でサービス活動の下振れが確認できることもあり、CPIサービス指数の推移がピークアウトにならないか、注視する必要があるでしょう。

【図表4】CPIと第3次産業活動指数の比較(ともに季節調整済指数)
出所:Bloombergよりマネックス証券作成

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太