東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は大幅続伸となりました。377円高の38,312円で寄り付いた日経平均は9時10分前に317円高の38,252円を付けた後上げ幅を広げると10時50分過ぎに673円高の38,608円まで上昇しましたが、買い一巡後に伸び悩むと後場に入り14時40分過ぎには247円高の38,182円まで上げ幅を縮めました。

しかし、その後引けにかけて持ち直すと結局470円高の38,405円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も高く東証グロース市場250指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

本決算を発表し市場予想を上回る業績予想を発表した日立(6501)や三菱電機(6503)が上場来高値を更新しました。日立は送配電網や鉄道などの社会インフラ事業やIT(情報技術)事業の収益増が寄与し2025年3月期の調整後営業利益が前期比で13.1%増となる見通しを示し市場予想を上回ったことに加え、自社株買いや株式分割を発表したこともあり一時13.6%高となりました。

三菱電機(6503)もデータセンターなどに使う業務用空調が伸びることや、ファクトリーオートメーション(FA)システム事業の採算も改善するとみられることから2025年3月期の営業利益が前期比で21.8%増となり市場予想を上回ったことで一時18.3%高となっています。

住友商事(8053)も一時9.1%高となり上場来高値を更新しました。アクティビスト(物言う株主)として知られる米ヘッジファンド、エリオット・マネジメントが住友商事株を数百億円規模で取得したと伝わったことで大幅高となりました。

一方で本決算を発表し市場予想を下回る業績予想を発表したアドバンテスト(6857)や日東電工(6988)、オリエンタルランド(4661)が売られました。アドバンテストは生成人工知能(AI)に組み込む高性能DRAMの需要が増えることでメモリー向け試験装置の出荷が伸びることなどにより2025年3月期の営業利益が前期比で10.3%増となる見通しを公表しましたが、市場予想を下回ったことで一時8.1%安となりました。

日東電工も半導体や電子部品向けの産業用テープで市況回復が見込まれるものの、ノートパソコンやタブレット端末向けの光学フィルムの需要が落ち込むことなどにより2025年3月期の営業利益が前期比で0.6%増に止まる見通しで、市場予想に届かなかったことから一時9.4%安となりました。

オリエンタルランド(4661)も6月の東京ディズニーシーの新エリア開業やインバウンド(訪日外国人)の増加により客単価と入園者数が伸びるとみられることなどにより2025年3月期の営業利益が前期比で2.8%増となる見通しを公表しましたが、市場予想を下回ったことから一時8.2%安となり年初来安値を更新しています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は470円高となりました。26日と29日の2日間でダウ平均が300ドル高となるなど米国市場が続伸となったことで買いが優勢となりました。一時は670円以上上げる場面もありましたが、大型連休の谷間であるうえに、連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表や米雇用統計の発表を控えていることもあり買い一巡後には伸び悩みました。

しかし、75日移動平均線(38,230円)をしっかりと上回って取引を終えたことから調整一巡への期待も改めて出てきそうです。なお、3月決算企業の本決算発表が続いています。本日も引け後にはLIXIL(5938)やJR東日本(9020)、JR東海(9022)、関西電力(9503)などが決算を発表する予定です。

また、21時30分に1-3月期の米雇用コスト指数が発表されるほか、22時45分に4月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)が、そして23時には4月の米コンファレンスボード消費者信頼感指数が発表される予定です。さらに30日の米国ではアマゾン・ドット・コム[AMZN]やアドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]、マクドナルド[MCD]、コカコーラ[KO]、スリーエム[MMM]などが決算発表を予定しています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)