米ドル/円 当局の為替介入への警戒感が高まる中、「ミセス・ワタナベ」の逆張りで後ずれの公算 週間予想レンジ:152.00~155.50

先週(4月8日週)は上放れ、34年ぶりの水準を更新

先週の米ドル/円は大陽線を形成し、153.40円のトライをもって34年ぶりの円安を記録した。4月10日に発表された米消費者物価指数(CPI)は市場予想より高く、米利下げ観測の後退によって米金利急騰をもたらした。そして、米ドル全面高の一環として米ドル/円も上放れとなり、また米ドル売り/円買いといった逆張り筋の損切りもあったことから、円売りの勢いが増すことになった。

為替介入への警戒感が高まる中、今週(4月15日週)はなお上値トライの見通しか

投機筋は総じて円安の方向に向かっており、当局の為替介入が意識されながらも、敢えて上値をトライしていたため、先週の米金利の急騰も追い風となった。

一方で、「ミセス・ワタナベ」と総称される日本の個人投資家が、為替介入を意識した逆張りに集中し、先週の上放れによって一部のポジションが損切りされたと推測できる。しかし、米ドルが急伸した後でも逆張りの動きが観察されたため、早期為替介入なしではなお踏み上げられる可能性がある。そのため、今週も高値を再更新する見通しである。

テクニカル視点:上放れした分、順張りしかできない

当局の為替介入に対する警戒があったからこそ、「ミセス・ワタナベ」の逆張りを促進させ、また結果的に為替介入の行動を後ずれさせていると思う。なぜなら、便乗しようとする日本の個人投資家が多い分、実際に介入する場合はその効果が低下する可能性が大きいためだ。

4月10日の日足は典型的な大陽線となり、また3月20日~4月9日までの保ち合いの期間を大きく上放れした分、強気構造を示唆している。為替介入という特殊な要素を除き、本来なら順張りしかできず、米ドルの一段高を想定しため、155円を一旦乗せてもサプライズではないだろう。

すでに新たな段階に入り、4月10日の「長大線」を早期に否定できない限り、米ドルの反落は想定しづらく、逆張り筋がこれから損切りさせられる可能性も鑑み、当局が実際に為替介入するまで、吹き値(米ドルの一段急伸)を想定している。もちろん、為替介入を実施する可能性は高いと考えており、早期の為替介入もあり得ると思う。ただし、それでも憶測の逆張りは禁物だろう。

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

豪ドル/円 なお高値圏を維持、ただし変動レンジは縮小へ 週間予想レンジ:98.00~100.50

先週(4月8日週)は高値再更新をしたものの一転して反落、引き続き上値圧力が強い傾向か

先週、豪ドル/円は再度高値更新を果たした。しかし、僅かな更新でその後反落し、かつ陰線で大引けとなり、先々週以上に上値圧力を示唆した。高値は100.83円、終値は99.02円だったことに鑑み、しばらくはレンジ変動に留まる公算が大きい。

今週(4月15日週)はなお高値圏を維持するも、上値追う展開になるか

当局の為替介入なしという前提では、豪ドル/円が高値を更新していくには力不足だろう。先週一旦豪ドル/円は101円に接近したものの、その後の失速や陰転したため、上値圧力が高いと感じる。早期に上放れできない限り、102円乗せといった従来の見方は一旦保留となるだろう。

テクニカル視点:頭打ちのサインが否定されても、上値追いの展開にならなければ注意

豪ドル/円は3月21日の高値更新や100円心理大台の突破があったことから目標達成感が大きかったが、先々週(4月1日週)の高値再打診をもって同達成感は帳消しとなり、さらなる上値志向の強さを示唆した。その反面、その後は僅かな高値更新となり、4月4日の「スパイクハイ」のサインもあった。

先週(4月8日週)の一旦高値更新は、非常に強いサインであった。なにしろ、4月4日の「スパイクハイ」を否定することとなり、本来上放れの機運を高める存在であった。しかし、その後の失速や反落、さらに4月12日の大陰線が示した「弱気リバーサル」のサインもあって、当面の頭打ちが示唆された。

仮に米ドル/円の吹き値があっても、それに連動した値動きがあるとは限らないだろう。早期に高値更新(そのハードルは高い)をできない限り、なお高値圏での推移を維持できても、頭の重い展開になりかねない。さらに、後ずれとはいえ、為替介入自体は実施される可能性が高いと考えるため、実施された場合はさらなる波乱も覚悟しておきたい。

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成