東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は3日ぶりに反発しました。279円高の39,722円で寄り付いた日経平均は直後に332円高の39,774円まで上昇しましたが、朝方の買い一巡後に伸び悩むと10時10分過ぎに15円高の39,457円まで上げ幅を縮めました。しかし、マイナスになることなく踏み止まると持ち直し200円高の39,642円で前場を終えました。

233円高の39,675円でスタートした後場の日経平均は、12時40分前に241円高の39,684円を付けた後伸び悩むと結局80円高の39,523円で取引を終えています。一方で新興市場は安く東証グロース市場250指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

富士フイルムホールディングス(4901)が一時4.1%高となりました。バイオ医薬品の開発・製造受託事業の成長を一段と加速させるため北米拠点に約1800億円(12億ドル)の大規模投資を行うと発表したことで将来の収益拡大を期待した買いが入りました。

三井不動産(8801)も一時8.6%高となりました。長期経営方針の株主還元方針に基づいて2024年3月期の年間配当を従来計画から10円積み増し82円にすると発表したことや、自己株式を除く発行済株式総数の1.43%にあたる4000万株、400億円を上限とした自社株買いを発表したことで大幅高となりました。

また、三菱地所(8802)と住友不動産(8830)も投資判断と目標株価の引き上げを受けて高く、三菱地所が一時7.8%高となり年初来高値を更新したほか、住友不動産も一時8.1%高となり上場来高値を更新しています。

本決算を発表した半導体ウエハー搬送装置を手掛けるローツェ(6323)も22.9%上昇しストップ高となり上場来高値を更新しました。2025年2月期の営業利益が前期比で31%増となる見通しを公表し市場予想を上回ったことや、1株を10株とする株式分割を発表したこともあり買いを集めました。

一方で上期決算を発表したファーストリテイリング(9983)が一時5.4%安となりました。2024年8月期の純利益の見通しを3100億円から3200億円に上方修正したものの、国内ユニクロで冬物商品の販売が低調だったことなどで売上高にあたる売上収益を3兆500億円から3兆300億円に下方修正したことや、営業利益の見通しを据え置いたことで売りが優勢となりました。

半導体商社の新光商事(8141)も一時18.7%安となり年初来安値を更新しました。主要取引先であるルネサスエレクトロニクス(6723)との間で締結していた特約店契約を終了することになったと発表したことで売りが膨らみました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は80円高となりました。3月の米卸売物価指数(PPI)が市場予想を下回ったことでインフレへの過度な警戒感が後退し、昨日の米国市場でハイテク株が買われナスダック総合株価指数が史上最高値を更新したことから反発となりました。

しかし、一時は330円以上上げましたが、25日移動平均線(39,704円)を上回ったところで伸び悩むと25日移動平均線を下回って取引を終えました。そのため25日移動平均線が上値抵抗線として意識されそうで、来週は25日移動平均線を超えて水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。

なお、小売り企業の決算発表が続いています。本日も引け後には良品計画(7453)やヨンドシーホールディングス(8008)、高島屋(8233)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分に3月の米輸出入物価指数が発表されるほか、23時には4月の米ミシガン大学消費者態度指数速報値が発表される予定です。さらに米国では大手金融を皮切りに決算発表がスタートします。12日はJPモルガン・チェース[JPM]やシティグループ[C]、ウェルズ・ファーゴ[WFC]などが決算発表を予定しています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)