2024年4月10日(水)8:50発表
日本 2024年3月 国内企業物価指数(速報値)
【1】結果:企業物価指数は前年比+0.8%で底打ちの兆し
企業物価指数
前年比 +0.8%(+0.8%)
前月比 +0.2%(+0.3%)
輸入物価指数
前年比 +1.4%
前月比 -0.4%
輸出物価指数
前年比 +8.5%
前月比 +0.4%
(%、カッコ内はBloomberg集計の市場予想、中央値。輸入・輸出物価指数については調査無し)
【2】内容・注目点:原油関連はまだ反映されない一方、輸入・輸出物価は上昇基調
2024年3月の企業物価指数は、概ね市場予想通りの結果となりました。企業物価指数は前回2月のデータから、前年比で+0.1%、前月比で変わらずといった内容です。企業物価の前年比推移については2024年に入り、底打ちしていることが図表1から見て取れます。財の価格については、国際的な資源高が一服した背景で、2023年は下降する展開でした。
一方で、輸入物価と輸出物価それぞれの前年同月比の推移は、2023年後半から上昇基調にありましたが、2024年に入りペースを落としています(図表2)。
直近では、原油価格の高騰が危惧されるコメントも多くあります。しかし、2月から3月にかけての輸入物価指数は円換算しなかった契約通貨ベースで-0.5%でした。内訳を見ても、「石油・石炭・天然ガス」はマイナス寄与をしており、現状ではまだその影響が確認できないものの引き続き注視が必要です(図表3)。
【3】所感:先行きは上昇予想。エネルギー関連に注視が必要
今後については、直近(4月1日)に発表された日銀短観の価格見直し(図表4、黄色の網掛け部分が先行き)では、唯一、中小企業製造業にて販売価格の上昇が見込まれています。しかし、全体としては先行きも大きな価格の変化は想定されていません。
日銀短観の集計時期が2月末であったため、直近では仕入れに直結するエネルギー関連も原油相場の上昇が確認できており、先行き見通しは修正している可能性が大きいと考えられます。原油価格の上昇は、次第に輸入物価の高騰から財へ波及すると考えられ、懸念材料として注視が必要でしょう。
また、政府が実施する電気・ガス価格激変緩和対策事業が予定通りであれば2025年5月に終了するため、企業物価指数の内訳項目である「電力・ガス・水道」について上昇する可能性があります。そのため、今後の見通しでは、企業物価指数は上昇していくと考えられます。
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太