東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は続伸となりました。117円安の39,622円で寄り付いた日経平均は10時40分前に332円安の39,407円まで下落しましたが、押し目買いが入り下げ渋ると持ち直し144円安の39,596円で前場を終えました。172円安の39,568円でスタートした後場の日経平均は日銀の金融政策決定会合の結果発表を受けてプラスに転じると12時40分過ぎに167円高の39,908円まで上昇しました。その後伸び悩むと売り買いが交錯し、しばらくは一進一退の展開となりましたが、円安を受けて13時40分頃から買いが優勢になると上げ幅を広げ263円高の40,003円で取引を終え高値引けとなりました。こうしたなか新興市場も高く東証グロース市場250指数が上昇となっています。
2.個別銘柄等
東レ(3402)が一時3.0%高となりました。リチウムイオン電池から希少金属(レアメタル)のリチウムの80%以上を回収・利用できる新技術を開発し、2028年3月期までに実用化を目指すと伝わったことを材料視した買いが入りました。日立(6501)も一時3.1%高となりました。画像処理半導体の米エヌビディア[NVDA]と人工知能(AI)システムの開発で協業すると発表したことを好感した買いが入りました。熊谷組(1861)も一時7.3%高となり昨年来高値を更新しました。香港の投資ファンドのオアシス・マネジメントが熊谷組の株式保有比率を10.21%まで高めたことが関東財務局に提出した変更報告書で分かったことで大幅高となりました。空調設備を手がける高砂熱学工業(1969)も一時3.6%高となりました。月面で水から水素と酸素を製造する装置を開発したと発表したことを材料視した買いが優勢となりました。北越コーポレーション(3865)も一時14.0%高となり上場来高値を更新しました。原油価格などが想定水準を下回り原燃料価格のコスト上昇が限定的であったことなどから130億円とみていた通期の営業利益の見通しを145億円に上方修正したことで上げ幅を広げました。また、イラクが原油の輸出量を減らす方針を示したと伝わったことを受けて原油先物価格が上昇したことから石油関連株が高く、INPEX(1605)が一時3.6%高、石油資源開発(1662)が一時4.5%高、出光興産(5019)が一時3.7%高、ENEOSホールディングス(5020)も一時2.2%高となり、石油資源開発と出光興産、ENEOSホールディングスは昨年来高値を更新しています。一方で「業務スーパー」を展開する神戸物産(3038)が一時6.4%安となりました。2月の月次動向で売上高は前年同月比11.6%増となりましたが、経常利益が19.2%減となったことで売りが優勢となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は263円高となりました。昨日に1,000円以上上げた反動で売りが先行しました。しかし、昼過ぎに発表された日銀の金融政策決定会合の結果を受けて買いが優勢となりました。日銀は金融政策決定会合でマイナス金利政策の解除や長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の撤廃などを決めましたが、大規模緩和の解除は織り込み済みだったことに加え、日銀が公表文に「当面、緩和的な金融環境が継続する」と盛り込んだことで150円前半まで円安が進んだことから上昇に転じ、40,000円の大台を回復し高値引けで取引を終えました。そのため3月4日に付けた史上最高値(40,109円)更新への期待が改めて高まりそうです。なお、日本時間の21日午前3時には米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が発表される予定です。政策金利は5会合連続で据え置きとなる公算が大きいとみられていることからパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見での発言や政策金利の見通し(ドットチャート)に注目が集まりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)