東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株安を受けて反落となりました。259円安の38,548円で寄り付いた日経平均は直後に287円安の38,519円まで下落しましたが、朝方の売り一巡後に下げ渋ると55円安の38,751円で前場を終えました。58円安の38,748円でスタートした後場の日経平均はさらに下げ幅を縮めると後場寄り直後にプラスに転じました。しかし、1円高の38,808円で伸び悩むと再び下げ幅を広げ13時50分には244円安の38,562円まで下落しました。その後下げ渋ると持ち直しましたが、引き続き軟調に推移すると結局99円安の38,707円で取引を終えています。一方でTOPIXは上昇となりましたが、新興市場は安く東証グロース市場250指数が下落となっています。
2.個別銘柄等
国際エネルギー機関(IEA)が2024年の世界の石油需要見通しを引き上げたことを受けて原油先物価格が上昇したことから石油関連株が買われました。INPEX(1605)が一時6.0%高、石油資源開発(1662)が一時7.1%高、出光興産(5019)が一時4.4%高、ENEOSホールディングス(5020)が一時2.9%高、コスモエネルギーホールディングス(5021)も一時6.4%高となり、石油資源開発と出光興産、ENEOSホールディングスが昨年来高値を更新したほか、コスモエネルギーホールディングスも上場来高値を更新しています。第3四半期決算を発表した鴻池運輸(9025)も一時14.5%高となりました。国際線の便数が回復したことにより航空機への荷物の積み下ろしや機内清掃といった空港関連業務の収益が想定を上回るとみられることなどから143億円とみていた通期の営業利益の見通しを164億円に上方修正したことで大幅高となりました。一方でスキンケア主体の化粧品メーカーであるアクシージア(4936)が一時12.9%安となりました。中国市場におけるマクロ経済成長率の鈍化や、ALPS 処理水放出に伴う日本の化粧品回避の動きなどにより販売の減少が続くと予想されることから2024年7月の営業利期の見通しを24億円から7億4000万円に下方修正したことで大幅安となりました。Vチューバーの事務所を運営するANYCOLOR(5032)も一時22.3%下落しストップ安となる場面がありました。第3四半期9ヶ月間累計の営業利益はイベントやグッズ商品の販売が国内で好調だったことなどにより前年同期比で20.4%増となりましたが、第3四半期3ヶ月間の営業利益が前年同期比で20%減と減益に転じたことから売りが膨らみました。また、昨日の米国市場で半導体株が売られた流れを受けて日本市場でも半導体関連株が安く、東京エレクトロン(8035)が4.9%安、SCREENホールディングス(7735)が一時3.8%安、アドバンテスト(6857)が一時2.9%安、ディスコ(6146)も一時4.9%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は99円安となりました。2月の米卸売物価指数(PPI)が市場予想を上回り米長期金利が上昇したことで昨日の米国市場が下落したことから売りが優勢となり、今週に入ってサポートとなってきた25日移動平均線(38,817円)を割り込みました。そのため来週の中銀ウィークを前にやや警戒ムードも意識されそうですが、下げ渋りわずかにプラスとなる場面もみられたことから押し目買い意欲は引き続き健在だといえそうです。なお、21時30分に3月の米ニューヨーク連銀製造業景況指数や2月の米輸出入物価指数が発表されるほか、22時15分には2月の米鉱工業生産指数と設備稼働率が、そして23時には3月の米ミシガン大学消費者態度指数速報値が発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)