東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は3日続落となりました。262円高の39,059円で寄り付いた日経平均は取引開始から20分余りで350円高の39,147円まで上昇しましたが、朝方の買い一巡後に伸び悩むと上げ幅を縮め10時40分前にマイナスに転じ161円安の38,636円で前場を終えました。254円安の38,543円でスタートした後場の日経平均はさらに下げ幅を広げると12時40分過ぎに344円安の38,452円まで下落しましたが、その後下げ渋ると14時過ぎには昨日の終値近辺まで持ち直しました。しかし、戻し切れないとやや下げ幅を広げ結局101円安の38,695円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も安く東証グロース市場250指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

東京エレクトロン(8035)が一時3.7%高となりました。国内大手証券が投資判断と目標株価を引き上げたことで買いが優勢となりました。くら寿司(2695)も一時4.4%高となり昨年来高値を更新しました。インバウンド(訪日外国人)向けの業態を新設した都市部の店舗を中心に外国人顧客の取り込みが進んだことなどから第1四半期の営業損益が17億円強の黒字となり、通期予想に対する進捗率が72.8%となったことから業績の上振れを期待した買いが入りました。橋梁大手の川田テクノロジーズ(3443)も一時10.3%高となり上場来高値を更新しました。鉄構セグメントや土木セグメントにおいて設計変更交渉が想定以上に順調に進んだことなどから74億円とみていた通期の営業利益の見通しを78億円に上方修正したことで大幅高となりました。東証スタンダード市場では石油プラント部品のナガオカ(6239)が一時13.8%高となり昨年来高値を更新しました。2024年6月期の年間配当を従来計画から7円積み増し30円にすると発表したことで買いを集めました。一方でキヤノン電子(7739)が一時12.7%安となりました。スペースワンが打ち上げた小型ロケット「カイロス」初号機が打ち上げ後に爆発したことからスペースワンに出資し、ロケットの部品なども供給するキヤノン電子が売られました。本決算を発表した三井ハイテック(6966)も一時13.5%安となりました。半導体の需要回復で電子部品事業が伸びることなどから2025年1月期の営業利益が前期比で15.9%増となる見通しを示しましたが、市場予想に届かなかったことで失望売りが優勢となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は101円安となりました。米エヌビディア[NVDA]が7%以上上昇するなど半導体株に買い戻しが入り昨日の米国市場でS&P500株価指数が史上最高値を更新したことから上昇して始まりました。しかし、節目の39,000円を上回ったところで伸び悩むと、春季労使交渉(春闘)で満額回答が相次ぐなか日銀が来週の金融政策決定会合でマイナス金利解除に動くとの観測が強まり下落に転じました。そのため39,000円を上回ったところでの上値の重さがやや意識されそうですが、一時は340円以上下げながら昨日の終値近辺まで持ち直す場面もあったことから押し目買い意欲は引き続き健在だといえそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)