◆日経平均が34年ぶりに史上最高値を更新。ほどなくして初の4万円台をつけるなど怒涛の上昇ぶりを見せた。こうなるとメディアも放っておかない。新聞は日経だけでなく一般紙も、そして週刊誌もテレビのワイドショーでも株式相場の話題を取り上げるようになった。おかげで僕も連日のようにテレビ朝日「グッド!モーニング」に出演している。

◆その他にもマスコミの取材が殺到。朝から晩まで働いて疲労困憊だ。妻にそう言うと、「それが普通だから」。さすが昭和の人間である。テレビドラマ『不適切にもほどがある!』では「馬車馬とがむしゃら以外に働き方なんてあるのかい?」との名言(?)があったが、思い返せばあのバブルの頃、証券マンはセブン・イレブン(朝7時から夜11時)なんて当たり前だった。リゲイン(注:バブル全盛の1988年に発売された“企業戦士”のための栄養ドリンク剤)のCMは「24時間戦えますか?」だった。

◆僕の仕事はお声がかかるうちが花だ。だからどんなに忙しくてもメディアの取材には積極的に対応している。先日も某放送局から「オフィスでインタビューを収録させてほしい」というので、株価を大きなモニターに映すなど準備を整えて待っていると、取材はキャンセルとの連絡がきた。テレビの場合、他の話題との兼ね合いで株価のニュースが「落ちる」ということはよくあるので、残念ではあるが特に気にもしなかった。ところがキャンセルになった理由を聞いて憤慨した。

◆その記者が言うには、僕ではない、別の専門家にインタビューするように局の上層部から指示されたというのである。その理由は、いまの相場は過熱していて危ない、こんなところで強気の見方をテレビで報じるわけにはいかない、株高に警鐘を鳴らすような弱気派にインタビューせよ、ということであったそうだ。怒りを通り越して呆れてしまった。なんとバイアスのかかった報道姿勢なのだろうか。

◆僕に取材したら、きっと僕が強気の見通しを述べると思ったのだろう。もちろん、そうである。僕の持論は「株は上がるもの」だから。しかし、長期のトレンドは右肩上がりでも短期的なピークというものがある。それを指摘するのも僕の仕事で、日経平均が4万円をつけた時のレポートでは、バリュエーション面での短期的な割高感を示唆している。それに続いて先週金曜日のレポートでは目先ピーク、調整入りだと述べた。

◆この株高をいち早く予見したことで各方面からお褒めの言葉を多くいただく。ありがたいことであるが、「万年強気派」というレッテルを貼られるのは嬉しくない。「株は上がるもの」がいけないのか。では、「株は上がったり下がったりするもの」にしようか。いやいや、そんなどこかの大臣が述べたような「当たり前」のことを言ったところで、まったく何の役にも立たない。やっぱり「株は上がるもの」だ。これが真実である。問題なのは、真実を伝えようとしない報道機関のほうである。