モトリーフール米国本社– 2024年2月27日 投稿記事より
決算説明会で中国向け売上について説明
2月22日、エヌビディア[NVDA]が発表した好調な11-1月期(2024年1月期第4四半期)決算を受け、株価は16.4%上昇しました。好業績の背景には、同社のデータセンター向け半導体とAI(人工知能)関連製品に対する需要が、業界や地域を問わず、加速し続けていることがあります。
11-1月期の売上高は前年同期比265%増の221億ドルとなり、ウォール街が予想していた241%増を上回りました。調整後1株当たり利益(EPS)は5.16ドルで、同486%増という驚異的な伸びを記録し、アナリストコンセンサス予想の426%増をも上回る結果となりました。さらに、経営陣は2-4月期(2025年1月期第1四半期)も3桁の成長が続くと予想しており、売上高は234%増、調整後EPSは396%増を見込んでいます。
説明会で経営陣は、投資家が注目する、中国向けデータセンター関連製品の売上について説明しました。
規制に準拠した中国向け製品を開発
米国政府は2023年10月、一定の性能を備えるAI関連製品について、中国および一部の特定国への輸出規制を強化することを発表しました。
エヌビディアのコレット・クレス最高財務責任者(CFO)は次のように語っています。
データセンター向け売上高は中国以外のすべての地域で力強く成長したが、中国だけは、10月に発動された輸出規制の影響で、大幅に減少した。当社はまだ、規制対象製品を中国に輸出するためのライセンスを米国政府から取得していないが、中国市場向けにライセンスを必要としない代替製品の輸出を開始している。11-1月期は、データセンター向け売上高全体の1桁台半ばを中国が占めた。2-4月期についても同程度の割合が見込まれる
クレス氏は2023年5-7月期の決算説明会で、中国はエヌビディアのデータセンター向け売上高の20~25%を占めていると述べました。つまり、従来の水準から比べると、1桁台半ば、すなわち4~6%付近ということは、かなり大幅な落ち込みと言えます。なお、11-1月期のデータセンター向け売上高は、エヌビディアの売上高全体の83%(221億ドルのうち184億ドル)を占めています。
もちろん、現在は供給が逼迫しているため、11-1月期にエヌビディアがデータセンター関連の売上機会を失ったとは考えられません。米国政府の規制がなければ中国市場に輸出するはずだった製品を、他の地域の顧客に振り向けたとみられます。とはいえ、長期的には、政府による輸出規制が継続または強化された場合、少なくとも売り上げの一部を失う可能性があります。
中国向け製品がエヌビディアの業績大幅押し上げも
この話題には2つの重要ポイントがあります。1つは、短期的にも中期的にも、中国市場がなくても、エヌビディアのデータセンター向け売上高は飛躍的に成長する可能性があることです。米国やその他の国々にも、エヌビディアのAI関連製品を欲しがっている企業はいくらでもあるでしょう。
もう1つは、中国市場でエヌビディアのデータセンター向け製品の需要が旺盛だったことを考えると、中国市場向けに新たに開発した製品がまずまず、あるいは少しでも成功すれば、同社の業績を大きく押し上げる可能性があります。
現在、中国市場向けの代替データセンター製品は限られた「サンプリング」段階にある、とジェンスン・ファンCEOは述べています。そのため、2-4月期も、データセンター向け売上高における中国の割合は1桁台にとどまる、と会社側は見ています。しかし、それ以降についてファンCEOは、「規制の範囲内で、その市場で成功できるように(中略)ベストを尽くす」と述べました。
確かに、中国が再び、エヌビディアのデータセンター向け売上高の20~25%を占めることはないかもしれません。しかし、データセンターAI分野における同社の支配的地位を考えると、中国市場で新たな代替製品を販売することで、少なくともある程度は成功できると思われます。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者BA McKennaはエヌビディアの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はエヌビディアの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。